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2016.03.16
弁論準備手続きとは?
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
民事訴訟が始まって何回かの裁判期日は、口頭弁論といって公開の法廷で審理が行われますが、原告と被告との間で、主張と反論が1、2往復したあたりで、弁論準備手続きに付されるのが一般的です。
この弁論準備手続きというのは、公開の法廷ではなく、書記官室近くにある準備室(小さな会議室のような部屋)において、裁判官と原告・被告両当事者がテーブルを囲んで、争点や、今後の裁判の進め方について話し合いをする手続きです。文書の証拠調べをすることもできます(民事訴訟法第170条2項)。
何回か期日を重ね、主張や立証もほぼ尽きると、和解についての話合いが行われることもあります。
弁論準備手続きは、訴訟当事者だけでなく、会社の担当者や、当事者の付き添いで来た親族等も傍聴することができます。公開ではないのに、随分緩やかに傍聴できるんだなぁと今まで思っていましたが、民事訴訟法にちゃんと根拠条文がありました。第169条2項に「裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。ただし、当事者が申し出た者については、手続を行うのに支障を生じるおそれがあると認める場合を除き、その傍聴を許さなければならない。」とあり、当事者が申し出た者については、原則、傍聴を許さなければならないんですね。
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2016.03.11
不動産売買の手付解除
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
近年、不動産取引において、買主が手付解除の申し入れをしたのに対し、売主から、既に履行に着手しており、手付解除はできないと主張され、争われることが多くなっています。
民法第557条1項には、「買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。」旨定められていますが、この「履行の着手」の具体的な判断基準が必ずしも明らかでないことから、問題となるのです。
判例(最高裁昭和40年11月24日判決)は、この条項の趣旨を、履行に着手した当事者が不測の損害を蒙ることを防止するためのものと解し、「履行の着手」を「債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す」と判示しています。
そして、「履行ノ着手」に当たるか否かについては、当該行為の態様、債務の内容、履行期 が定められた趣旨・目的等諸般の事情を総合勘案して決すべきである。」と判示しています(最高裁平成5年3月16日判決)。
売主に「履行の着手」があったと認められた事例として、以下のものがあります。
・ 売買の対象建物が賃貸されており、売買契約上、所有権を買主に移転するまでに、売主(賃貸人)が賃借権等を消除する義務を負っていた場合に、売主が賃借人との間で、売買物件の賃貸借契約の明渡・立退料支払い合意、残置物件等買取合意をしたとき(東京地裁平成21年10月16日判決)
・ 売主が、道路を含む隣接土地の境界を確定する作業や、転居先のリフォーム工事の着手をしたとき(東京地裁平成21年9月25日判決)
・ 売主が、売買の対象建物に設定された抵当権を抹消する義務をおっていた場合に、抵当権を消滅させるために借入金の全額を返済したとき(東京地裁平成21年11月12日判決)
他方、売主に「履行の着手」があったことを否定した事例として、以下のものがあります。
・ 売買契約締結の当日に行われた鍵の交付(転売目的で売買契約を締結した買主が販売活動を行う便宜のためのものであり、履行期以前に不動産の引渡しを受ける趣旨で鍵の交付を受けたものでないことは明らかであるとした。東京地判平成20年6月20日判決)
・ 売主が売買契約の履行期日の3日前にした、司法書士への登記手続の委任、固定資産評価証明書の取得、領収証の作成(単なる準備行為にすぎず、「履行の着手」には該当しないとした。東京地裁平成17年1月27日)
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2016.03.09
親権者の変更が認められる場合とは?
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
民法第819条6項には、「子の利益のため必要があると認められるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。」と定められています。
その必要性を認定する具体的事情として、親権者変更審判では、監護体勢の優劣、父母の監護意思、監護の継続性、子の意思、子の年齢、申立の動機・目的等が挙げられています。
また、比較衡量の基準として、①母親優先の原則、②監護の継続性(現状尊重)の原則、③子の意思尊重の原則、④兄弟姉妹不分離の原則等が考慮されています。
上記②が重視されており、親権者が子を監護していない場合に、子の監護者が親権者になるために親権者変更の申立をする場合には、変更が認められるのがほとんどであると言われています。
福岡高裁平成27年1月30日決定も、親権者の変更を認めた裁判例の一つですが、「親権者変更の必要性は、親権者を指定した経緯、その後の事情の変更の有無と共に当事者双方の監護能力、監護の安定性等を具体的に考慮して、最終的には子の利益のための必要性の有無という観点から決せられるべきものである。」と判示しています。
その上で、未成年者の子供らが、親権者である母親ではなく、父親とその両親に監護養育され、安定した生活を送っていること、婚姻生活中、母親は食事の世話等はしていたが、夜間のアルバイトをしていたこともあって、子の幼稚園の欠席日数も少なくなかったこと、母親が親権者でありながら保育料の支払いをしていなかったこと、母親に監護補助者が存在せず、父親と対比して監護養育に不安があること、母親が婚姻期間中に不倫をしていたこと等から、母親から、父親への親権者の変更を認めました。
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2016.03.03
事務所近くのおすすめランチ④ さ和長「そばセット」
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
事務所隣の特許庁前の大通りを渡って、一つ路地に入ったところに、粋なおそば屋さんの「さ和長」があります。
ここは、日替わりのそばと炊き込みごはんがセットになったランチメニューがあるのですが、今日はひな祭りですので、何か特別なものが食べられるのでは?と期待して行ってみたら、やはり当たりでした。
レンコン等の入ったお稲荷さんと鯛の手まり寿司に巡り会えました!
今日のおそばは、ちょっと時期が早いですが、冷やしたぬきそばです(暖かいそばも選べますよ)。
この「さ和長」、そば屋の出汁で作った濃厚なカレー南蛮そばもお勧めなのですが、そのご紹介はまたいずれかの機会に。
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2016.02.26
マンション管理組合によるバルコニーの修補義務を否定した事例
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
本日は、マンション管理組合による、バルコニーの修補義務を否定した裁判例(東京地裁平成27年7月17日判決)をご紹介させていただきます。
Xは、マンション10階部分の専有部分(本件居室)を購入しましたが、本件居室に接するバルコニー(共用部分)があり、Xが専用使用権を有していました。
ところが、そのバルコニーには透明の手すり用ガラスが設置されており、そのガラスには購入当時から複数箇所にシミのように見える部分(本件不具合)があり、清掃等によって除去できない状態でした。
そして、マンションの管理規約には、共用部分の管理は、原則としてY管理組合がその責任と負担において行い、バルコニー等の管理のうち通常の使用に伴うものは専用使用権を有する者がその責任と負担において行う旨定められていたことから、Xは、Y管理組合が共用部分にあるバルコニーの本件不具合を修補する義務を負っていたにもかかわらず、その義務を怠ったと主張して、Y管理組合に対し損害賠償請求の訴訟を提起しました。
これについて裁判所は、Y管理組合が共用部分を適正に管理する義務を負っているものと解されるとしても、共用部分に存在する不具合の全てについて、その程度等にかかわらず、修補をする義務があるということはできず、不具合の程度や修補のために生ずる費用負担の程度に照らし、合理的と認められる範囲で修補等の対応をすれば足りるとしました。
その上で、本件不具合は、それによって本件居室からの眺望に若干の影響が生じることは否定できないものの、その程度は限定的なものと認められ、その他本件居室及び本件バルコニーの通常の使用に支障を生じさせるものとは認められない一方、本件不具合を修補するには、バルコニーガラスの交換を要し、少なくとも85万円の費用を要するから、Y管理組合に本件不具合の修補をする義務を負わせることは、本件不具合によって受けるXの不利益の程度に比して、Y管理組合に過分の経済的負担を強いることになるから、Y管理組合にそのような義務があるということはできない旨判示し、Xの請求を棄却しました。
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2016.02.18
勝手に遺言書を開封してしまうと、無効?
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
封印のある遺言書は、家庭裁判所における検認手続きによらなければ、開封をすることができません(民法第1004条3項)。
では、検認を受ける前に、遺言書を勝手に開封してしまうと、ただちに遺言書が無効になってしまうかといえば、そうではありません。
検認とは、遺言書が偽造・変造されているという争いを可及的に防止するため、遺言の執行前に、遺言書の形式や状態を調査確認し、その保存を確実にするための形式的な手続であり、実質的な遺言内容の真否や効力の有無を判定するものではありません。
したがって、検認を経た遺言書でも、後にその効力を争うことができますし、反対に、検認を経ていないからといって、遺言書の効力が左右されるわけではありません。
検認前に間違って遺言書を開封してしまった場合でも、家庭裁判所に対し、その旨を申告して、改めて検認手続きを受ければよいのです。
但し、検認前に遺言書を開封してしまうと5万円以下の過料に処せられるおそれがありますから(民法第1005条)、注意して下さい。
なぜ、今回、この話をしたかというと、開封してしまった遺言書は無効であると勘違いしたことが紛争の発端となった裁判例が目に止まったからです。また、最近私がご相談を受けた方の中にも、そのように誤解されている方がいらっしゃいました。
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2016.02.01
御徒町 吉池食堂「吉池御膳」
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
午前中、上野で仕事があり、どこでランチをしようかしばし迷った末、気の向くまま、御徒町駅前の吉池デパート9階にある吉池食堂に行ってきました。
注文したのは、限定30食の「吉池御膳」。お膳が2つに分かれていますが、これで一人前。刺身に、天ぷら、焼き魚、煮物、汁物、小鉢、香の物等に、コーヒー等(ビールも頼めるようですよ)の飲み物がついて、2500円(税込)です。
私は、普段、こんなに食べることはないんですが、初めて入ったので、ついつい店名の付いたものを頼んでしまいました(;^_^A
ここは魚がお勧めのようです。お寿司を召し上がっている方も何人かいらっしゃいました。
そして、このお店のウリは、ガラス張りで眺めがよいことです。
上野・御徒町周辺で、ゆったりと食事をしたいときにご利用下さい。
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2016.01.28
公正証書遺言が遺言能力を欠き無効とされた事例
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
公証人が作成した公正証書遺言が無効とされることなどあるのかと思われるかもしれませんが、公正証書遺言作成時に、被相続人に遺言能力があったか否かが争われることがあり、公正証書遺言の無効が確認された裁判例も多数あります。
今回は、そのうちの一つである、東京高裁平成25年8月28日判決をご紹介させていただきます。
同判決は、
①被相続人は、進行癌による疼痛緩和のため、平成22年2月末ころから、病院より麻薬鎮痛剤を処方されるようになり、同年7月23日に病院に入院した後は、せん妄状態と断定できるかどうかはともかく、上記薬剤の影響と思われる傾眠傾向や精神症状がみられるようになったこと
②平成22年8月10日の公正証書遺言作成時の被相続人は、公証人の問いかけに対し、「うん」、「ああ、はい」等と受動的に反応するだけであり、公証人の案分読み上げ中に目を閉じてしまったり、自分の年齢を間違えて言ったり、不動産を誰に与えるか答えられなかったこと
③公正証書遺言の内容は、平成22年1月時点での被相続人の考えに近いところ、被相続人は、同年7月に、大学ノートにその考えを大幅に変更しているにもかかわらず、なぜ同年1月時点の考え方に沿った遺言内容をしたのか合理的な理由は見出しがたいこと
を理由に、被相続人は、公正証書遺言作成時に遺言能力を欠いていたと認めるのが相当であると判示しました。
公正証書遺言作成当時の被相続人の精神症状や、公正証書遺言作成時の被相続人の態様には注意が必要です。
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2016.01.26
住民登録が抹消されていても、破産申立できる!?
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
自己破産の申立をする際、申立書類の一つとして住民票の提出が必要になるのですが、住民票上の住所が現在実際に住んでいる場所と違う場合や、住民票上の住所が職権で抹消されてしまっているような場合にも、自己破産の申立はできるのでしょうか?
破産部である東京地裁民事20部に問い合わせてみたところ、「できる」とのことでした。
現在連絡がとれる「居所」を記載してもらえば良いとのことでした。
また、債権者に、現在の住所や居所を知られたくないような場合には、その旨の上申書を提出すれば(自己破産申立書類一式の一番上に付けて出してほしいとのことでした)、裁判所の方でも、債権者に知られないよう配慮してくれるようです。