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    2021.02.18

    【マンショントラブル】騒音の立証方法

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    当事務所では、マンションにおける騒音問題についてご相談やご依頼を受けることが多々ありますが、問題の解決に役立てていただくため、今回は、騒音の立証方法についてご説明させていただきます。

     

    なお、騒音の差止や損害賠償請求を認めた裁判例については、以下をご参照ください。

     

    マンションの階上からの騒音防止及び損害賠償請求

     

    騒音うるさい

     

    ■ 被害者が立証すべきこと


     

     

    騒音の被害者は、裁判において、次の点を立証する必要があります。

     

    ① 騒音が客観的に存在すること(騒音の存在)

    ② その騒音が、上階や隣室等の居住者やその同居者の行動が原因であること(騒音の原因)

     

    まずは通知書を発送したり、交渉をしたりする場合でも、相手方に拒否された場合に備え、訴訟提起を視野に入れて、調査や証拠の保全をしておく必要があります。アクションを起こした後では、相手方が警戒をし、十分な証拠の収集をすることができないおそれがあります。

     

     

    ■ 被害者が立証に成功した裁判例


     

     

    東京地裁平成24年3月15日判決の事案では、被害者が専門業者に委託して、約64万円の費用をかけ、約1ヶ月間にわたり、リビングルームの中央で高さ1.2mの位置を測定点として騒音計マイクロホンを設置し、階上からの音を聴感で関知した際に、騒音計とこれに接続したレベルレコーダーを稼働させて、騒音を測定しました。これは重量衝撃音(子供の体重に近い重量物を高さ1m程度から落下させた時の床衝撃で発生する音)や、軽量衝撃音(椅子の引きずり音やスプーン等の比較的軽量固形物が落下した時の衝撃音)、上階の居室から下階の居室へ伝搬する歩行音の周波数特性等を分析できるものでした。

     

    また、東京地裁平成19年10月3日判決の事案では、被害者が、騒音計のリースを受けるなどし、騒音計をリビングダイニングのほぼ中心から廊下寄りの位置で、天井から約70㎝~1mの位置に設置し、C特性で測定しました(なお、耳の感度に近似するのは、A特性であり、測定された床衝撃系騒音についてC特性をA特性に補正しています)。

     

    さらに、東京地裁平成26年3月25日判決の事案はロックミュージシャンの歌声により騒音被害を受けたという特殊な事案ですが、被害者から委託を受けた専門業者が、1時間、JIS Z 8731:1999「環境騒音の表示・測定方法」に概ね則った方法で、被害者の洋室、リビングダイニング及び玄関ホールにおいて、暗騒音と相手方が歌った時の騒音レベルを測定しました。

     

    これら裁判例では、いずれも相手方からの騒音の発生が認められ、損害賠償請求が認められています。

     

     

    ■ 被害者が立証に失敗した裁判例


     

     

    これに対し、東京地裁平成9年4月17日判決の事案では、被害者が、階上からの騒音の発生状況を「騒音日誌」に記録したほか、これだけでは不十分と考え、連日5、6時間にわたり自宅において上方から生ずる音の録音を続け、より正確な騒音を録取するために、集音マイクを自宅の天井に接して録音した上、音響研究所に依頼し、天井付近でマイクを使用して録音した音を、実験で再現した音と対比、検討した結果、録音されていた音は、自宅で録音したものと推定できる旨の鑑定書を提出するなどしました。

     

    しかし、当該判決は、客観的なデータを提供する騒音測定を行うに当たっては、計測用の器機を準備することに加え、音響工学に関する専門的知識及び技術も必要となるところ、被害者がこれまでに独自に行ったという騒音測定の結果は、いかなる機種をいかなる特性の下で使用し、いかなる方法によっていかなる音を採取したものであるか等が明らかにされていないことや、被害者が提出した調査結果も、録音されている音が、相手方宅でゴルフ練習機を作動させたことによって発生した音であると断定するものではなく、あくまでもその可能性があることを述べるに止っていることなどを理由に、騒音の発生を認めませんでした。

     

     

    ■ まとめ


     

     

    以上の裁判例からすると、単に騒音の状況を記録した日誌や、騒音の録音だけでは立証としては不十分であり、騒音計による測定が必要不可欠であるといえます。

     

    しかも、被害者宅の暗騒音の影響を排除したり、相手方宅からの重量衝撃音を分析できたりすることを考えると、騒音測定の専門業者に委託して測定するのが望ましいでしょう。

     

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    2021.01.22

    【損害賠償】民法改正による法定利率変更の影響

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    令和2年4月1日に施行された改正民法により、法定利率について、それまで年5%で固定されていたものが、変動性に改正されましたが、これにより損害賠償実務にも大きな影響があります。そこで、今回は、その影響について解説させていただきます。

     

    年利

     

     

    ●法定利率変更のポイント


     

     

    今回の民法改正による法定利率の変更点は次の通りです。

     

    ・当初の法定利率は3%とする(改正民法第404条2項)。

    ・法定利率は、その後3年ごとに見直す(同3項)。

    ・各期の法定利率は、過去5年の毎月の短期貸付平均利率の平均として法務大臣が公示した割合を「基準割合」とし、直近変動期の基準割合との差が1%を超えたときに、その差の1%未満を切り捨てて、整数の単位で法定利率に反映する(同4、5項)。すなわち、4%とか、2%という利率になり、4.5%とか、2.35%といった利率にはなりません。

     

    なお、年6%とされていた商事法定利率(商法514条)は、今回の改正により削除され、商行為にも、民法の法定利率が適用されるようになりました。

     

     

    ●いつの時点の法定利率が適用されるか?


     

     

    法定利率は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって、定められます(同第419条本文)。

     

    不法行為に基づく損害賠償は、不法行為時から、遅滞の責を負いますので、その時点の法定利率が適用されることになります。

     

    いったん法定利率が決まれば、その後、法定利率が変更されても、影響を受けることはありません。例えば、不法行為時の法定利率が3%であった場合、その後、1%に変更されていたとしても、請求できる遅延損害金は年3%のままです。

     

     

    ●経過措置


     

     

    改正民法による法定利率は、令和2年4月1日以降に生じた損害賠償請求権に適用されます。

     

    これに対し、令和2年3月31日以前に生じた損害賠償請求権の遅延損害金は年5%のままとなります。

     

    そのため、訴状記載のよって書きの記載は次の通りとなります。

     

    (令和2年4月1日以降に生じた損害賠償請求の場合、当面の間)

    「金○円及びこれに対する令和○年○月○日から支払済まで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払いを求める。」

     

    (令和2年3月31日以前に生じた損害賠償請求の場合)

    「金○円及びこれに対する令和○年○月○日から支払済まで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。」

     

     

    ●中間利息控除


     

     

    損害賠償実務上、後遺症に基づく逸失利益の請求については、本来であれば将来得られるはずの収入を一時金で先に支払う場合に、中間利息控除が行われています。

     

    従前(令和2年3月31日以前に)生じた損害賠償請求において、後遺障害逸失利益を算定する場合、労働能力喪失期間に対応する年5%の利率によるライプニッツ係数を乗ずる方法によって算定されていました。

     

    これに対し、令和2年4月1日以降に生じた損害賠償の場合、その請求権が生じた時点における法定利率によって中間利息が控除されることになりました(同第417条の2第1項)。

     

    すなわち、不法行為時(事件・事故時)の法定利率が3%であった場合には、その後、後遺障害の症状固定時の法定利率が2%になっていたとしても、不法行為時の法定利率である年3%で中間利息が控除されることになります。

     

    但し、中間利息控除の計算期間(労働能力喪失期間)の始期については、従前の運用通り、症状固定時となります。

     

     

     

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    2021.01.08

    周辺住民らによる開発工事の差止請求を棄却した事例

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    今回は、周辺住民らによる、開発工事の差止請求等を棄却した裁判例(神戸地裁尼崎支部令和元年12月17日判決)をご紹介させていただきます。

     

    開発工事

     

     

    ●事案の概要


     

     

    本件は、兵庫県西宮市内にある高塚山と呼ばれる小高い丘にある土地の所有者が事業主、建設会社が工事施行者となって、宅地分譲のための開発を行っていることについて、周辺住民らが、人格権から導かれる「まちづくり権」などを侵害されたと主張して、開発工事の差止や、損害賠償を請求した事案です。

     

     

    ●「まちづくり権」


     

     

    周辺住民(原告)らは、「まちづくり権」について、「より暮らしやすい、自らの幸福を追求しうる生活環境を自ら決定する権利、自らの住む地域のあり方を自らが決定する権利」であると定義した上で、これは人格権が具体化したものであり、法的権利として認められるなどと主張しました。

     

    この点について、本判決は、「まちづくり権」について、法的権利性を有し、工事差止等が認められるためには、

     

    ①権利として客観的に認知されていること、

    ②その内容や効力が及ぶ範囲、発生の根拠、権利主体などについて、一義的な判断を下すことができる程度の明確な実態をすること

     

    が必要であるとした上で、原告らが主張する「まちづくり権」は、

     

    ①土地所有権等を制約するものとして客観的に認知されているということはできないし、

    ②どの範囲の住民が、どのような相手方に対して、差止等の権利行使を行うことができるのかといった具体的内容も全く不明である

     

    などと判示して、その法的権利性を否定しました。

     

     

    ●都市計画法や条例違反の主張


     

     

    また、原告らは、当該開発許可手続において、原告ら住民に対する十分な住民参加手続が履践されなかった結果、当該開発工事は、都市計画法や条例に違反するものになったと主張しました。

     

    この点について、本判決は、都市計画法や条例によるまちづくりに対する住民関与の手続きは、主として市等の地方公共団体の責務とされているものであって、

     

    都市計画法上の開発許可を受けた者は、当該開発許可に重大かつ明白な違法が存し、無効であるような場合の他は、取消訴訟によって取り消されない限り、開発工事を実施することは行政法上適法であることからしても、

     

    事業主ないし施工業者との関係で、住民らがまちづくりに自らが参加し、自らの住む地域のあり方を自らが決定する利益が、法的利益として認められるとまでいうことはできないと判示しました。

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    2020.09.02

    【不動産賃貸】仲介業者の物的状態に関する調査・説明義務

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    私は、複数の不動産会社の顧問弁護士をしており、日々、様々な不動産に関する法律相談を受けることがあります。最近、顧問先から、賃貸仲介をした建物に設備上の不備があった場合に、入居した賃借人から損害賠償責任を負うおそれがないかという相談を受けましたので、今回は、賃貸仲介業者の物的状態に関する調査・説明義務についてご説明をさせていただきます。

     

    ちなみに、賃貸仲介業者が、説明義務を負う相手方は、賃借人になろうとしている者であり、賃貸人になろうとしている者ではありません。

     

    重要事項説明

     

     

    ■重要事項説明の対象事項


     

     

     

    宅建業法35条1項(政省令を含む)には、物的状態については、少なくとも、次に掲げる事項について、説明することが求められています。

     

    ・飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況

    ・既存住宅の場合には、建物状況調査を実施しているかどうか、実施している場合にはその結果の概要

     

    建物状況調査(いわゆるインスペクション)とは、一定の専門的な知識を有する者(既存住宅状況調査技術者)が、建物の基礎・外壁等に生じている劣化現象や不具合事象(割れ、雨漏り等)の状況を目視・計測等により調査するものです。

     

    「既存住宅」とは、①人の居住の用に供した住宅、②建設工事の完了の日から1年を経過した住宅、のいずれかに該当するものです。店舗や事務所は対象にはなりません。

     

    また、宅建業者は、専門家として高度な注意義務を負っていることから、列記事項以外でも、これに準じるものは説明すべきと考えられています。

     

     

    ■裁判例


     

     

     

    (東京地裁平成28年3月10日判決)

    当該判決は、「不動産の賃貸借契約を仲介する宅建業者としては、当該契約の目的不動産について、賃借人となろうとする者の使用目的を知り、かつ、当該不動産がその使用目的では使用できないこと又は使用するに当たり法律上・事実上の障害があることを容易に知り得るときは、それが重要事項説明書の記載事項(宅建業法35条1項各号)に該当するかどうかにかかわらず、賃借人となろうとする者に対してその旨を告知説明すべき義務がある」と判示しています。

     

    上記判決は、原告が、介護施設として利用する目的で被告Yから賃借した建物に検査済証がなく、建築基準法上の用途変更確認申請ができないために、予定していた介護施設を開設できなかったとして、被告(賃貸人)側の仲介業者である被告Y1に対しては説明義務違反(不法行為)に基づき、原告から委託を受けていた仲介業者である被告Y3に対しては委託契約上の調査義務違反(債務不履行)に基づき、損害賠償請求をした事案です。

     

    そして、上記判決は、被告Y3には、原告・Y3仲介契約に係る信義則上の義務として、Bから当該建物には検査済証がないことを聞いた段階で、必要な調査をした上で速やかに事情を原告に告知説明する義務が発生しており、それを怠ったことにより原告に生じた損害について、債務不履行に基づく賠償責任を免れないというべきであると判示しました。

     

     

    (東京地裁平成21年6月22日判決)

    また、当該判決は、「宅地建物取引主任者は、不動産取引等の仲介等を依頼する者に対して、不動産取引等に際して社会的に当然に想定される一般的なリスクや不利益を回避するため、一定の依頼の範囲内で対象物件の客観的状況や権利制限の有無等を調査したり、調査結果に基づいて説明をするべき義務を負っているものというべきである。」と判示しています。

     

    もっとも、その程度については、「借主側から仲介を依頼された場合であって、仮に、仲介対象物件の床面積が物件概要書等に記載されている広さよりも狭いことが明らかな場合などには、その事実を依頼者に指摘し、その指示や判断を待つなどすることが必要になるが、そのような特段の事情が認められない場合には、貸主側から提示された物件概要書等の記載を前提として、当然に想定される不利益や問題点等を指摘したり、依頼者から要望があった点に関連する調査や説明等をすれば足りるというべきである。」と判示しています。

     

     

    (神戸地裁平成11年9月20日判決)

    さらに、当該判決は、「仲介業者は建物の構造上の安全性については建築士のような専門的知識を有するものではないから、一般に、仲介業者は、仲介契約上あるいは信義則上も、建物の構造上の安全性については安全性を疑うべき特段の事情の存在しない限り調査する義務まで負担しているものではないと解するのが相当」であると判示して、阪神・淡路大震災の際に、マンションが潰れて倒壊し、死亡・負傷した事故において、賃貸仲介業者の責任を否定しています。

     

     

    ■まとめ


     

     

    以上の裁判例をまとめますと、賃貸仲介業者の、物的状態に関する調査・説明義務の範囲・程度については次のことがいえます。

     

    ・当該不動産がその使用目的では使用できないこと又は使用するに当たり法律上・事実上の障害があることを容易に知り得るときは、告知説明すべき義務がある。

     

    ・社会的に当然に想定される一般的なリスクや不利益を回避するため、一定の依頼の範囲内で対象物件の客観的状況や権利制限の有無等を調査・説明義務を負う。

     

    ・ただし、不備が明らかな場合など特段の事情が認められない場合には、貸主側から提示された物件概要書等の記載を前提として、当然に想定される不利益や問題点等を指摘すれば足りる。

     

    建物の構造上の安全性については安全性を疑うべき特段の事情の存在しない限り調査する義務まで負担しているものではない。

     

     

     

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    2020.08.24

    【損害賠償】マンション管理組合の理事長に対する損害賠償請求

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

    今回は、マンションの大規模修繕工事について、総組合員の利益を目的とすることを装いつつ、実は理事長が自己所有住戸を高値転売するといる私的利益を図ったものであったと認定し、理事長に対する善管注意義務違反に基づく損害賠償請求を認めた裁判例(東京高裁令和元年11月20日判決)を紹介させていただきます。

     

    なお、以下も合わせてご参照ください。

    【損害賠償】マンション管理について、理事や管理会社の善管注意義務違反を認められるケース

    【損害賠償】マンション管理について、理事や管理会社の善管注意義務違反が認められないケース

     

    マンション大規模修繕

     

     

    ■ 管理組合と役員との法律関係


     

     

    本件判決は、「一般に、管理組合の役員と管理組合の法律関係については、役員を受任者とし、管理組合を委任者とする委任契約が成立しているものと解され、受任者(理事長その他の役員)は委任の本旨に従い善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う(民法644条)。」と判示しています。

     

    そして、「理事長は、その職務の遂行に当たり、自己の私的な利益を追求してはならない。私的利益を目的として職務を遂行することは、管理組合に対する善管注意義務違反に当たり、これによって管理組合に生じた損害を賠償する責めに任ずる。」

     

    「当該職務の遂行が総会又は理事会の決議に基づくものであったことは、賠償責任を免れる理由にはならない。私的利益を目的とすることを隠し、総組合員の利益を目的とすることを装って総会又は理事会の決議を得たからといって、善管注意義務の違反があることに変わりはないからである。」と判示しています。

     

    善管注意義務違反が認められる典型例は、理事長が管理組合の総会決議等を得ることなく、その権限を逸脱して職務遂行をした場合です。しかし、このような場合だけでなく、形式的に総会決議が存在しても、私的利益を目的とする職務遂行である場合には、管理組合に対する善管注意義務違反に当たるとしています。

     

    ■ 善管注意義務違反〜私的利益を図る目的の認定


     

     

    本件判決は、以下の点を総合すると、大規模修繕工事の実施に関する理事長としての職務遂行は、総組合員の利益を目的とすることを装いつつ、その実は理事長自らの私的利益(将来の総組合員の利益を犠牲にした上での自己所有住戸の高値転売)を図ったものと推認することができ、善管注意義務違反があると判示しています。

     

    ・理事長は自己所有住戸を転売して転居することを考えていた。強い役員就任意欲を示し、理事長に就任するや、強引に大規模修繕工事の実施に一人でのめり込んでいった。マンションの管理会社が時間的、資金的に無理だというのに、理事会決定の趣旨に反して、管理会社への劣化診断等の依頼を怠り、複数社からの相見積もりを取らずに工事業者を選定し、事前に本件住民らへの十分な説明をしなかった。理事長は、総会決議を成立させるために、賛成が多数であるとの説明をしたり、一部の区分所有者に利益誘導したり、虚偽の説明をしたりした。

     

    ・より小規模な工事で足りたのに、強引に大規模修繕工事を推進した。

     

    ・漏水対策の中心は、屋上等であって外壁全般ではないのに、理事長は、理事会や総会で、漏水の原因が「外壁」に特定されたとして、外壁補修が漏水対策(大規模修繕工事)の中心であるかのように説明した。そして、工事の重点を秘かに、漏水対策等のための外壁補修から、美観確保のための外壁補修に移動させていった。

     

    ・大規模修繕工事費用の約3分の2(1000万円)を住宅金融支援機構からの借入れでまかなった。借入金の返済負担は将来の区分所有者の負担となり、また、返済資金を修繕積立金会計で負担するとすれば、将来の区分所有者が修繕積立金会計の資金不足に苦しむことになる。

     

    ・理事長としての職務遂行の方法は、透明性がなく、強引かつ不誠実である。

     

    このように、大規模修繕工事の内容や、工事を実施する必要性、工事実施を承認する理事会決議や総会決議に至る過程、工事を実施した場合における理事長の利害状況等を詳細に認定し、理事長の職務遂行が私的利益を目的とするものであったと判示しました。

     

    ■ 損害額


     

     

    (工事代金)
    本件判決は、大規模修繕工事は、客観的な実施の必要性に乏しいのに、私的利益を図った理事長が、管理組合に対して負う善管注意義務に違反して実施したものであるとして、その工事代金全額について、債務不履行に基づく損害賠償責任を負うとしています。

     

    ただし、工事代金のうち防水工事費(減額後のもの)は、管理組合がその予備的主張において有用性を肯定していることもあり、その全額を損益相殺の対象としています。

    また、ある程度本格的な防水工事を実施するには、防水工事費のほかに、共通仮設工事や直接仮設工事(足場)の一部が必要であること、大規模修繕工事の実施により将来あるかもしれない修繕工事費用の支出の一部を免れたことを考慮しても、損益相殺として控除できるのは、防水工事費(減額後のもの)の全額のほか、工事代金から防水工事費を控除した金額の半分にとどまり、残額は、理事長が賠償すべきであるとしています。

     

    (マンション管理士への報酬)
    理事長は、大規模修繕工事を実施するに当たり、管理会社と意見が合わなかったことから、独断で、マンション管理士に相談してアドバイスを受け、報酬を支払ったが、これは、理事長が善管注意義務に違反する職務遂行についてアドバイスをもらうための支出であるから、善管注意義務違反と相当因果関係のある損害であるとしています。

     

    (借入金保証料及び返済利息)
    さらに、理事長が善管注意義務に違反して大規模修繕工事を行わなければ、住宅金融支援機構から融資を得る必要もなかったとして、借入金保証料と住宅金融支援機構返済利息の全額は、理事長の善管注意義務違反と相当因果関係にある損害であり、損害賠償責任を負うとしています。

     

     

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    2020.07.14

    100本の薔薇【2020】

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    今年も顧問先から、100本の薔薇が届きました。

     

    100本の薔薇2

     

    その高貴さ、存在感には、圧倒されます。

    今年も気を引き締め、よりよいリーガルサービスを提供できるよう精進して参ります。

     

    なお、隣のオフィスで働くロシア人女性の方が通りかかった際、ささやかながらプレゼントしたため、

    現在は99本になっています。

     

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    2020.07.10

    【不動産売買】契約不適合責任の免責条項とその有効性

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    今年4月1日から改正民法が施行されましたが、改正民法においては、「瑕疵担保責任」という概念はなくなり、引き渡された目的物が種類、品質、数量に関して契約の内容に適合しているか否かという「契約不適合責任」という概念に変更(再構成)されました。

     

    私は現在5社の不動産会社の顧問弁護士をしており、アパート経営などをされている大家さんからもご相談を受けることが数多くありますが、今回は、不動産売買に関し、契約不適合責任を免除する条項の有効性と、その例文について説明させていただきます。

     

    なお、契約不適合による損害賠償請求の要件については、こちら

    また、【不動産売買】中古建物の雨漏り等による契約不適合責任はこちら、をそれぞれご参照ください。

     

    不動産売買契約書

     

     

    ■基本的に有効


     

     

    改正民法下の契約不適合責任も、旧法下の担保責任と同様、任意規定であり、これと異なる合意をすることは妨げられませんので、契約不適合責任を免除する特約も基本的に有効です。改正民法572条も、これを前提としています。

     

     

    ■例外的に無効になる場合


     

    ただし、売主の契約不適合責任を免除する特約があったとしても、以下の場合には、売主は契約不適合責任を免れることはできません。

     

    ①売主が、契約内容に適合しないことを知りながら、買主に対し、これを告げなかった場合(改正民法第572条)

    なお、売主だけでなく、買主もまた、売買契約締結時に、契約不適合の事実を知っていた場合はどうなるかという問題がありますが、この場合は、そもそも契約不適合にはあたらないということになると考えられます。

     

    ②売主自らが第三者のために権利を設定したり、第三者に対し、目的物を譲渡した結果、契約内容に不適合をもたらした場合(同条)

     

    ③売主が宅建業者で、買主が宅建業者ではない場合には、契約不適合が存在することを通知する期間を、目的物の引渡しから2年以上としなければならず、2年未満に限定する特約は無効となります(宅建業法第40条)。

     

    ここで注意しなければならないのは、上記の場合、特約として有効なのは、買主が契約不適合の事実を知った時の売主に対する通知期間を、引き渡しから最短2年間とすることだけであるということです。

    改正前と同様、「契約不適合責任は引渡しから2年間に限り行使することができる」という行使期間自体を2年間に限定する特約を設けてしまった場合には、宅建業法第40条により、無効となりますので、注意が必要です。

    なお、売主も買主も宅建業者である場合には、同条の適用が除外されており(78条2項)、契約不適合責任を免責したり、制限したりする特約は有効となります。

    ④また、消費者契約法に基づき、売主が事業者で、買主が消費者の場合、契約不適合責任を免除する特約や、事業者にその責任の有無・程度を決定する権原を付与する条項は無効とされます(同法8条2項)。

     

    ⑤さらに、住宅の品質確保と促進等に関する法律に基づき、新築住宅の売主は、目的物の引渡時から10年間は、「主要構造部分」については、契約不適合責任を負う義務を負い、これに反する特約は無効となります。

     

    ■免責条項の例文


     

    契約不適合責任をすべて免除する規定として、次のような例が考えられます。

     

    「売主は、買主に対し、本件物件に関し、契約不適合を理由とする追完、代金減額、契約解除、損害賠償等の責任を追わない。」

     

    また、契約不適合責任を負うとしても、損害賠償額の上限を限定するものとして、次の例が考えられます。

     

    「売主の買主に対する損害賠償責任は、債務不履行責任、契約不適合責任(担保責任)、その他請求原因のいかんにかかわらず、金●●万円を超えないものとする。」

     

    さらに、契約不適合責任の行使期間を制限する例としては次のようなものが考えられます。

     

    「売主は、買主に対し、契約不適合責任を、本件物件の引き渡しをした時から、●か月以内に限り負う。」
    「買主は、売主に対し、本件物件に契約不適合があったときは、買主が不適合を知った時から●か月以内に売主に通知し、履行の追完を催告した場合に限り、履行の追完を請求することができる。

     

     

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    2020.06.23

    【執行法改正】給与差押のため勤務先を調査する方法

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

    令和2年4月1日から、改正民事執行法が施行されました。新設された債務者の給与債権に係る情報の取得手続により、債権者による債務者の勤務先の調査がしやすくなりましたので、今回はその要件や手続き等について解説させていただきます。

    スーツ

     

     

    ■申立できる者


     

     

    給与債権に関する情報の開示を求めることができる債権者は、次のいずれかの請求権について、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者です(新法第206条1項)。

    ・養育費や婚姻費用などの請求権
    ・人の生命若しくは身体の損害による損害賠償請求権

    債務者の勤務先を把握することは必ずしも容易ではありませんが、近年、養育費履行確保の必要性の観点から、給与債権の差押えを容易にするために新設されました。
    他方、このように、債権の種類が限定されているのは、給与債権に係る情報は秘匿性が高いと考えられたからです。

    なお、債務者(か会社)の行為により債権者がPTSDを発症するなど精神的機能の障害による損害賠償請求権も「身体の侵害による損害賠償請求権」に含まれると解されています。

     

    ■申立の要件


     

     

    給与債権に係る情報取得手続は、預貯金に関する情報取得手続とは異なり、先行して債務者に対する財産開示手続きを行う必要があります。財産開示手続きが実施された場合において、その財産開示期日から3年以内に限り申立をすることができるのです。

    また、執行開始要件を備えていること(債務者に債務名義が送達されていることや、債務者について破産手続開始決定がなされていないことなど)や強制執行の不奏功等が要件として必要となります

    強制執行の不奏功等とは、強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立の日より6ヶ月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかったとき、あるいは知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明(債務者が持ち家か否か、持ち家であれば担保割れしているか否かなど)があったときです。

    さらに、給与債権に係る情報取得を認容する決定が出された場合、決定は債務者に送達されます。債務者はこの決定に対し執行抗告をすることができ、決定は確定しなければその効力を生じません

     

    ■情報提供を命じることができる第三者


     

     

    債務者の給与債権に関する情報の開示を命じることができる第三者は次の通りです。

    ・市町村(特別区を含む)
    ・日本年金機構及び共済組合(国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、日本私立学校振興・共済事業団、各厚生年金保険の実施期間等)

     

    ■提供を受けることができる情報


     

     

    市町村等から、情報提供を受けることができる情報は次の通りです。

    ・債務者に対し給与の支払をする者の存否
    ・これが存在するときは、その者の氏名又は名称及び住所(支払をする者が国である場合は債務者の所属する部局の名称及び所在地)

    なお、市町村が保有する勤務先情報は、給与支払者から毎年1月に提出される給与支払報告書等により得られるものなので、情報提供段階で債務者が退職、異動している可能性があります。

    また、市町村等が債務者の過去の勤務先に関する情報も保有している場合がありますが、本手続きは、あくまで債務者の給与差押のための手続ですので、取得できる情報は、市町村等が保有している直近の債務者の勤務先に関する情報となります。

     

    ■手続


     

     

    債権者が裁判所に対し申立をすることにより行われます。原則として、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所に申立をします。

    申立に際し、債務者の氏名について、できる限り、ふりがな、生年月日、性別、その他の特定に資する事項の記載を必要とします。

     

    ■費用


     

     

    申立手数料は申立1件につき1000円です。債権者が2名以上の場合は、債務名義が1通であっても申立ての個数は債権者の数になります(1000円×債権者の数)。開示を命じる第三者の数は申立手数料に影響しません。

    また、予納金として、勤務先情報1件6000円(東京地裁の場合)を予納する必要があります。なお、第三者が増えるごとに2000円ずつ足す必要があります。

    これら情報取得手続にかかる費用は、債務者の負担となりますが、実際に債務者に請求するためには、執行費用額確定処分を経て、強制執行により回収する必要があります。

    なお、情報取得手続の申立を弁護士に依頼する場合には、別途弁護士費用がかかります。

     

     

  • lawyer

    2020.03.19

    【民事執行法改正】預貯金口座の調査方法

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

    令和2年4月1日から、改正民事執行法が施行されます。新設された債務者の預貯金債権等に係る情報の取得手続により、債権者による債務者の預貯金口座の調査がしやすくなりますので、今回はその要件や手続き等について解説させていただきます。

     

    預金通帳

     

    ■申立できる者


     

     

    預貯金に関する情報の開示を求めることができるのは、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者です。

     

    改正前は、債務名義のうち、仮執行宣言付判決、支払督促及び公正証書等では財産開示手続の申立をすることができませんでしたが、改正後は金銭債権であれば全ての種類の債務名義で申立をすることができるようになり、申立できる債務名義の範囲が拡大されました。

     

    このほか、債務名義がなくても、債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者も申立をすることができます。
    もっとも、一般の先取特権を有する者とは、共益の費用、給料等の雇用関係、葬式費用、日用品の供給に関する債権を有する者ですので(民法第306〜310条)、これを利用できる債権者は限定的です。

     

     

    ■申立の要件


     

     

    預貯金に関する情報取得手続は、不動産や給与債権に係る情報取得手続とは異なり、先行して債務者に対する財産開示手続きを行う必要はありません

     

    ただし、執行開始要件を備えていること(債務者に債務名義が送達されていることや、債務者について破産手続開始決定がなされていないことなど)や強制執行の不奏功等が要件として必要となります。

     

    強制執行の不奏功等とは、強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立の日より6ヶ月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかったとき、あるいは知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明(債務者が持ち家か否か、持ち家であれば担保割れしているか否かなど)があったときです。

     

     

    ■情報提供を求めることができる金融機関


     

     

    銀行、信用金庫、信用協同組合、労働金庫、商工中金、農業協同組合、農業協同組合など、ほとんどの金融機関に対し、預貯金口座に関する情報の開示を命じることができます。詳しくは改正執行法第207条1項1号をご確認下さい。

     

    日本国内にある外国銀行の支店に預けられた預貯金債権は対象となりますが、他方、外国銀行の本店や、日本の金融機関でも海外支店に存在する預貯金債権に関する情報の取得は難しいと考えられています。

     

    また、振替社債等については、振替機関及び口座管理機関に対し、情報の開示を命じることができます。

     

     

    ■提供を受けることができる情報


     

     

    預貯金債権の存否、預貯金債権が存在する場合には、その取扱店舗、預貯金債権の種別、口座番号及び調査基準日時点での残高全額です。店舗も含まれますので、いわゆる全店照会が可能となります。

     

    また、債務者の有する振替社債等の存否、これが存在するときは、その振替社債等の銘柄、額または数に関する情報提供を求めることもできます。

     

    振替社債等には、社債のほか、国債、地方債、投資信託の受益権、株式、新株予約権、新株予約権付社債等が含まれます。

     

    これに対し、振替決済の対象とはならない株式や社債等、生命保険や損害保険の解約返戻金については、改正執行法に基づく情報提供の対象とはなりません。これらについては、従前の実務通り、弁護士会照会等を用いて情報を取得していくことになります。

     

     

    ■手続


     

     

    債権者が裁判所に対し申立をすることにより行われます。原則として、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所に申立をします。

     

    申立に際し、債務者の氏名について、できる限り、ふりがな、生年月日、性別、その他の特定に資する事項の記載を必要とします。

     

    預貯金債権に関する情報取得手続については、その流動性の高さによる財産隠しの危険性から、債務者に対して決定の送達はなされません。

     

    決定が出された場合、銀行等は、申立人用の情報提供書面の写しを執行裁判所に提出するか、申立人に対して情報提供書面の写しを直接発送します。

     

    銀行等から情報提供されると、その申立による最後の銀行等から情報が提供されてから1ヶ月程度経過後に、裁判所から、債務者に対し、情報提供命令に基づいてその財産に関する情報の提供がされた旨の通知がされます。

     

     

    ■費用


     

     

    申立手数料は申立1件につき2000円です。同一の債務名義に複数の債務者が記載されている場合も,財産開示手続の性質上、債務者ごとに別事件として申立てをすることが必要となります。

     

    また、申立人は、自身や第三者への郵送費用6000円(東京地裁の場合)も予納する必要があります。

     

    さらに、回答をする金融機関は、1社ごとに2000円の報酬を請求することができます。申立人は、この報酬相当額も予納する必要があります。

     

    これら情報取得手続にかかる費用は、債務者の負担となりますが、実際に債務者に請求するためには、執行費用額確定処分を経て、強制執行により回収する必要があります。

     

    なお、情報取得手続の申立を弁護士に依頼する場合には、別途弁護士費用がかかります。

     

     

    ■弁護士会照会との相違


     

     

    これまでにも、弁護士会照会による口座照会をすることができましたが、この方法で調査できる金融機関は、基本的に、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、みずほ信託銀行、ゆうちょ銀行に限定されていました。これに対し、改正民事執行法に基づく預貯金債権等に係る情報取得の手続きでは、国内にあるほとんどの金融機関に対し、情報の開示を求めることができます。

     

    また、改正民事執行法に基づく預貯金債権等に係る情報取得の手続きでは、金銭債権であれば全ての種類の債務名義で申立をすることができるのに対し、弁護士会照会では、銀行にもよりますが、支払督促や公正証書では、照会できない場合があります。

     

    他方、改正民事執行法に基づく預貯金債権等に係る情報取得の手続きでは、強制執行の不奏功等が要件として必要となるのに対し、弁護士会照会ではこのような要件は必要とされていません。また、弁護士会照会では、債務者に照会の告知は予定されていません。このように両手続は、一長一短です。

     

    そのほか、かかる実費に若干差があります。

     

    以上を踏まえて、改正民事執行法に基づく情報取得の手続と、弁護士会照会手続きのいずれを申し立するかについて選択することになります。

     

     

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