マンションにおける民泊営業について損害賠償を認めた裁判例
虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。
今回は、マンション管理者(管理組合の理事長)の、マンションの一室で民泊営業を行なっていた者に対する、損害賠償請求を認めた裁判例(大阪地裁平成29年1月13日判決)をご紹介させていただきます。
●事案の概要
被告は、マンションの一室で、インターネットを通じて募集し、不特定の外国人旅行者を対象として、約1年9ヶ月間民泊営業を行なっていました。
●判決の要旨
判決は、旅館業法の脱法的な営業に当たる恐れがあるほか、住戸部分を不特定多数の実質的な宿泊施設として使用することを禁じる管理規約に明らかに違反すると判示しました。
そして、鍵の管理状況、床の汚れ、ゴミの放置、非常ボタンの誤用の多発といった区分所有者の共同の利益に反する状況が現実に発生し、被告に対して注意や勧告等をしているにもかかわらず、被告があえて営業を止めなかったため、原告は弁護士に委任して本件訴訟をせざるを得なかったため、マンションにおける民泊営業は、区分所有者に対する不法行為にあたるとして、損害賠償を認めています。
●損害賠償額
原告の請求通り、訴訟遂行に関する弁護士費用相当額50万円を損害賠償額として認めています。