虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

 

運送会社の貨物自動車等の営業車両が事故により損傷した場合、その修理費等とは別に、修理期間中、営業車両を稼働させ利益を上げることができなかったことによる休車損を請求される場合があります。

 


 

 

●どのような場合に休車損が認められるか?

 

事故により営業車両が破損したというだけでは、直ちに、当該車両が従来挙げていた営業利益と同額の休車損が発生したと認めることはできません(東京地裁平成15年3月24日判決)。

 

予備車両(遊休車)がある場合には、遊休車の利用が可能であり、現実に休車損は発生しないので、休車損は認められないとされています。

 

東京簡裁平成25年6月25日判決も、原告保有の営業車両の稼働率が96.2%であることは当事者間に争いがなく、原告保有の営業車両は47台であるから、少なくとも1台の非稼働車両が存在したことになる。そうすると、遊休車を代わりに利用することが可能であったから、休車損は認められない旨判示しています。

 

 


 

●遊休車の存否の立証責任

 

損害の主張立証責任は、原則として損害賠償請求をする被害者の方にありますし、立証資料が加害者の手元にはなく、証拠への距離等を考え、休車損を請求する被害者の方で、遊休車等の代替車両が存在しなかった事実またはこれを使用し得なかった事実を主張立証する必要があります(前出東京地裁平成15年3月24日判決)。

 


 

 

●休車損が認められる期間

 

事故により損傷した営業車両の修理または買換に要する相当な期間について、休車損が認められます(前出東京地裁平成15年3月24日判決)。

 

実際に修理ないし買換をするのが遅れたとしても、一般的に修理ないし買換等に要する相当期間を超える期間については、休車損が否定されると考えられます。