霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

 

平成27年10月に、経済産業省は、データに関する取引(いわゆるビッグデータを利用した商品開発や、マーケティング活動等を目的としたデータの取引)を活性化させることを目的として、データを保有する事業者(データ提供者)とデータを利用する事業者(データ受領者)が、契約締結時に留意すべきチェックポイントと、契約書のひな形を紹介するガイドラインを公表しました。

http://www.meti.go.jp/press/2015/10/20151006004/20151006004-1.pdf

 

有体物が対象となる取引とは異なり、データ自体は目に見えるものではありませんので、それを取引する契約書の作成にあたっては、一般的な契約書とは異なる、特有の留意点があります。

 

まず、取引の対象となるデータをどのように特定するかという問題があります。これが曖昧だと、データ提供者は過大なデータの提供を求められたり、他方、データ受領者は本来ほしかったデータの提供を受けることができないといったおそれがあります。 

 そこで、対象となるデータの項目や量、どのシステムで、いつからいつまでの間取得されたデータかといったことを明確に定める必要があります。

 

また、データの提供手段(メール添付によるか等)や、データの形式・仕様(Excelファイルによるか等)についても予め合意し、データ提供者、データ受領者共に、データの変換に係る手間暇やコストを最小限にし、最適なデータを提供できる(受けられるよう)にしておくべきです。

 

そのほかにも、データ提供者が、提供されるデータの品質をどこまで保証するかや、損害賠償義務の制限といった検討すべき点があります。