霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

 

ご相談を受けていると、時々、民事責任と刑事責任とを混同されている方や、このような場合、刑事責任を問われるのか?と過度な心配をされている方がいらっしゃいます。

 

例えば、借りたお金は返さなければならず、返さないでいると、貸主から、訴訟提起され、判決に基づき、預貯金や給料等の差押えを受けるかもしれません。これを民事責任といいます。

しかし、借りたお金を返さないからと言って、刑事上、逮捕されたり、起訴されたりして、懲役刑や罰金刑を受けること(これを刑事責任といいます。)はありません。借りたお金を返さないことが、刑事法上、犯罪とは規定されていないからです。

もっとも、最初から、お金を返すつもりがないのに、相手をだましてお金を借りるのは詐欺罪に該当します。

 

また、未成年者が他人を怪我させてしまったような場合、一定の要件の下、親がその損害について、賠償責任を負う場合はあります(子供が13歳未満の場合。それ以上の年齢の場合、原則として親が損害賠償責任を負うことはなく、例外的に親が責任を負うのは過去の裁判例等に照らした個別の事案ごとの判断になります。)。

しかし、子の監督が不十分だったからと言って、親が刑事上処罰されることはありません。

 

反対に、例えば覚せい剤を使用した場合、それは覚せい剤取締法違反として、刑事上処罰されますが(初犯の場合でも、懲役1年6ヶ月執行猶予3年で、次は実刑になるでしょう)、民事上、誰かに損害賠償義務を負うことはありません。

 

さらに、自動車を運転していて、誤って人を死傷させてしまったような場合には、民事上、被害者やその遺族に対し損害賠償責任を負うと共に、刑事上、自動車運転過失致死傷罪として処罰されるおそれがあり、民事責任と刑事責任の双方を負います。どちらか一方の責任を果たしたからといって、他方の責任を免れることはありません。

もっとも、被害者側との間で示談が成立し、損害賠償をしたことを理由に、不起訴処分となったり、刑が軽減されることはあります。

 

このように、民事責任と刑事責任は異なるものです。

 

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