示談書の書き方
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
一般の方は示談書を取り交わすことなど滅多になく、どのような内容を盛り込めばいいかわからないのではないでしょうか。
弁護士が見れば、その示談書が素人の作成したものか、プロの作成したものか一目でわかります。皆さんにも、後顧の憂いを残すこと無く、紛争を確実に解決することができるよう、今回は、示談書の書き方をご説明したいと思います。
ところで、事件や事故について示談をする場合には、必ず示談金を払う前に(少なくとも示談金の支払いと引換に)、示談書を取り交わして下さい。お金を支払ってしまった後では、被害者から示談書を取り付けることができず、さらに損害賠償請求を受けるおそれがあります。
示 談 書
被害者●●(以下、「甲」という。)と、加害者××(以下、「乙」という。)とは、後記事故(以下、「本件事故」という。)について、本日、次の通り、示談する。
1 乙は、甲に対し、本件事故の損害賠償債務(※1)として、金 円の支払義務があることを認める。
2 乙は、甲に対し、前項の金員を本示談の席上で支払い、甲はこれを受領した。(※2)
3 甲は、乙に対し、本件事故について特別に許し、検察庁に対し、乙について不起訴処分とする寛大な処分を求める。(※3)
4 甲は、乙に対し、その余の請求を放棄する。
5 甲と乙とは、甲乙間に、本示談書に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。(※4)
(事故の表示)
注:日時や場所、事故態様によって、具体的に特定して下さい。
平成 年 月 日
甲 印 (※5)
乙 印 (※5)
以上
※1 他に「解決金として」と表記する例もよくあります。
※2 これは示談の席上で、示談金を現金で支払う場合の記載例です。被害者としては支払いを確実に受けることができ、安心でしょう。これに対し、後日、振込送金する場合には、「平成 年 月 日限り、甲名義の口座に振込送金する方法にて支払う。なお、送金費用は乙の負担とする。」と記載します。
※3 これは、既に事故が刑事事件化しており、示談をすることによって、不起訴にしてもらいたい場合の記載例です。刑事事件化していない場合には省略しても構いません。
※4 これは清算条項と呼ばれる重要な条項です。それ以上、お互いに金銭等を請求することができなくなります。
※5 住所と氏名を署名して、押印するのが一般的ですが、被害者の方が加害者に住所を知られたくないという場合には、氏名だけの署名でもよいでしょう。印鑑は実印ではなく、認め印でも構いません。
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