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    2018.01.26

    ポイントサービスに関する法規制

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    ポイントサービスは、資金決済法の規制対象になるでしょうか?

     

    先日、スマホ向けアプリを開発している企業の方からご相談を受けました。

    利用者が、事前にポイントを購入し、システムを利用するというスキームでしたが、この場合には、資金決済法の規制対象になります。

     

    このように、利用者が対価を支払って発行されるポイントサービスは、前払式支払手段に該当し、資金決済法の適用を受けます。

    LINEポイントなどがこの例として挙げられます。

     

    これに対し、事業者が、利用者から対価を受けることなく、景品やおまけとして付与するポイントサービスについては、前払式支払手段には該当せず、資金決済法の規制対象外です(現時点において。将来的には規制対象になる可能性があります)。

    ツタヤポイントや、各家電量販店、ドラッグストアなどのポイントサービスがこの例として挙げられます。

     

    もっとも、ポイントが対価を支払って発行されたものか否かについて判断が難しい場合もあり、このような場合には、社会通念に照らして判断されることになります。利用者が対価を支払って、ポイントを取得したと認識するかどうかが1つの判断要素となります。

     

    ポイントが景品やおまけとして付与される場合、景品表示法の規制に基づき、取引価額の10分の2以内(取引価額が1000円以上の場合)でなければなりませんが、このような範囲内で付与されたポイントは、資金決済法の規制対象外と考えてよいでしょう。

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    2018.01.23

    商人である買主の検査通知義務(商法第526条)

     

    虎ノ門桜法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

     

    最近よく、企業の方から、納品した商品に関する瑕疵のご相談や、瑕疵を理由に代金を支払ってもらえないとして、訴訟のご依頼を受けたりします。

    そこで、商人間の売買契約における検査通知義務について整理させていただきます。

     


      

    ●商人間売買の検査義務

     

    商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければなりません(商法第526条第1項)。

     

    同条項は、あくまで商人間の取引に関するものですので、当事者の一方または双方が商人でない場合には、この規定の適用はありません。

     

    同条項は、売買目的物が特定物の場合に限らず、不特定物の場合にも適用されます。また、売買契約に限らず、制作物供給契約にも適用されます。

     


     

    ●検査の時期

     

    遅滞の有無は、目的物の種類、数量、引渡場所等を考慮して判断されます。

    輸入玩具12ダースの引き渡しを受けた後5、6日内に検査・通知した場合に遅滞なしとした裁判例がある一方、酒類の小売店が日本酒の引き渡しを受けた一週間後に検査し、腐敗を発見したとしても、その検査は遅きにすぎるとした裁判例があります。

     


      

    ●検査方法

     

    検査方法は、目的物の瑕疵、数量不足を発見するため合理的と考えられる方法で、かつ合理的注意をつくして行う必要があります。

    少量で高価なものは全数個別検査、大量・同質的なものは抜き取り検査が通例とされています。

     


     

    ●通知義務

     

    買主は、目的物に瑕疵または数量不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知をしなければなりません(同法第526条第2項前段)。

    「直ちに」とは、可及的に速やかにという意味です。

     

    他方、目的物に直ちに発見することのできない瑕疵(受取時に合理的な検査をしても発見できない瑕疵)があり、買主が6ヶ月以内にこれを発見したときも、買主は直ちに売主に対しその通知を発しなければなりません(同条項後段)。

     


     

    ●通知を怠った場合の効果

     

    買主が上記通知をしなかったときは、買主は、売主に対し契約解除、代金減額、損害賠償の請求ができなくなります(同条項)。代物請求、瑕疵修補請求、不足分追加請求といった完全履行請求もできなくなります。

     

    他方、瑕疵・数量不足を通知した買主は、瑕疵等の発見時から1年以内(除斥期間)損害賠償等の権利行使をしなければなりませんが(民法第570条、566条3 項)、その権利行使は、裁判外で、売主の担保責任を問う意思を明確にすれば足ります(最高裁平成4年10月20日判決)。

     

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    2018.01.22

    ケイオウザクラ

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    皆様、本年も宜しくお願い申し上げます。

    年明け早々、業務が立て込んで、ブログの更新をせず、失礼いたしました。

     

    さて、当事務所は、事務所名に ” 桜 ” が入りますので、桜にちなんだものを揃えたりしているのですが、、、

    寡聞にして、冬に咲く桜があることは知りませんでした。

     

    お花屋さんで、「ケイオウザクラ」と教えられ、はて、どのような漢字を書くのだろう?と思いましたが、

    調べてみたところ、「啓翁桜」と書くようです。

    素敵な名前ですね。

     

    只今、当事務所のエントランスホールを、新年らしい、華やいだ雰囲気にしてくれていますので、ご来所の際は、是非、ご覧ください。

     

    ケイオウザクラ

     

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    2017.12.28

    年末年始休業のお知らせ

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    ご迷惑をお掛けいたしますが、当事務所は、平成29年12月28日から平成30年1月4日まで休業いたします。

     

    それでは、皆様、よいお年をお迎えください。

     

     

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    2017.12.14

    マンションにおける民泊営業について損害賠償を認めた裁判例

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    今回は、マンション管理者(管理組合の理事長)の、マンションの一室で民泊営業を行なっていた者に対する、損害賠償請求を認めた裁判例(大阪地裁平成29年1月13日判決)をご紹介させていただきます。

     

     


     

     

    ●事案の概要

     

    被告は、マンションの一室で、インターネットを通じて募集し、不特定の外国人旅行者を対象として、約1年9ヶ月間民泊営業を行なっていました。

     


     

     

    ●判決の要旨

     

    判決は、旅館業法の脱法的な営業に当たる恐れがあるほか、住戸部分を不特定多数の実質的な宿泊施設として使用することを禁じる管理規約に明らかに違反すると判示しました。

     

    そして、鍵の管理状況、床の汚れ、ゴミの放置、非常ボタンの誤用の多発といった区分所有者の共同の利益に反する状況が現実に発生し、被告に対して注意や勧告等をしているにもかかわらず、被告があえて営業を止めなかったため、原告は弁護士に委任して本件訴訟をせざるを得なかったため、マンションにおける民泊営業は、区分所有者に対する不法行為にあたるとして、損害賠償を認めています。

     


     

     

    ●損害賠償額

     

    原告の請求通り、訴訟遂行に関する弁護士費用相当額50万円を損害賠償額として認めています。

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    2017.12.05

    下請法が適用されますか? 〜役務提供委託の場合

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    顧問先からよく、この取引は下請法の適用対象となる取引ですかと質問を受けることがあります。

     

    先日も、製品に関するクレーム対応を外部業者に委託する取引に、下請法が適用されるか質問を受けたことがありました。

     


     

     

    下請法が適用される役務提供委託は、親事業者が、顧客等の第三者から委託を受け、役務の提供を業として行なっている場合に、その役務提供行為を下請事業者に再委託する行為に限られます。

     

    製造委託や情報成果物作成委託、修理委託といった下請法が適用される他の委託取引とは異なり、事業者が、自家利用役務の提供を、他の事業者に委託する行為は、たとえ自ら反復継続して当該役務を自家利用のため提供しているとしても、下請法の適用対象とはなりません。

     

    前記の質問についてですが、製品に関するクレーム対応を外部業者に委託する取引は、顧客から委託を受けた業務を、他の業者に再委託しているものではなく、メーカーが、本来自ら行う業務を外部業者に委託している自家利用役務の提供委託にすぎませんので、下請法の適用対象とはならないと回答しました。

     


     

     

    その他にも、自家利用役務の提供委託に該当し、下請法が適用されない典型例として、以下のものが挙げられています。

     

    ・工作機械製造業者が、自社工場の清掃作業の一部を清掃業者に委託すること。

    ・医薬品製造業者が、自社の廃棄物の廃棄処理を産業廃棄物処理業者に委託すること。

    ・印刷業者が、自社で利用する印刷機械の保守点検業務を、機械器具製造業者に委託すること。

    ・工作機械販売業者が、自社の商品を輸出する際に必要な通関業務を輸出入代行業者に委託すること。

    ・物品の通信販売業者が、顧客からの電話による販売受付窓口業務を他の事業者に委託すること。

    ・自社で利用する帳票システムの管理業務を他の事業者に委託すること。

    ・自社所有ビルのテナント募集を不動産仲介業者に委託すること。

    ・企業が弁護士、公認会計士、産業医と委任契約を締結すること。

     

     

     

     

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    2017.12.01

    メーリークリスマス 2017

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    ついに、今年も残り1ヶ月となりました。早いものですね。

     

    街中はすっかり華やかな雰囲気になってきましたが、当事務所も、皆様への今年一年のご愛顧に応えて、クリスマス仕様に致しました。

     

    ポインセチア

     

     

    クリスマスツリー

     

    クリスマスツリーとオーナメントは、事務局スタッフの屋根裏部屋(屋根裏部屋というのも、なんだかワクワクする響きですね。)に長く保管されていたものです。

     

    多少なりとも、心が軽く、ほっこりとした気持ちになっていただけるよう、豆から挽きたての暖かいコーヒーでも、おもてなしさせていただきますので、お気軽にご来所いただければ幸いです。

     

     

     

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    2017.11.14

    すがすがしい美しさ

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    今週は、ご来所されるお客様も多く、多少なりともくつろいだ気持ちで、ご相談いただくため、会議室に花束を飾らせていただいております。

     

    11月の白い花束

     

    トルコキキョウ

    バラ

    カーネーション

    レースフラワー

     

    といった白の花を基調に、アクセントとして、青色の

    ブルースターを活けてあります。

     

    トルコキキョウには、「すがすがしい美しさ」や「永遠の愛」といった花言葉があり、白色のトルコキキョウは、結婚式に送られる花束としても人気があるようです。

     

     

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    2017.11.07

    西明弁護士がテレビ出演!?・・(パネルで)

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    当事務所の西明弁護士が、フジテレビ系列で放映されている「ノンストップ!」という番組から、債権回収に詳しい弁護士として、旅行会社「てるみくらぶ」の破産に関し取材を受け、本日、そのコメントがパネルで紹介されました。

     

    西明/ノンストップ!

     

    その内容の当否については、あくまでテレビ視聴者向けの、一般的な可能性としてご容赦下さい。

     

    確かに、破産手続においては、一般的な破産債権に優先して支払や配当がなされる財団債権や優先的破産債権があります。

    換価・回収された財団債権が、これら債権に満たない場合には、破産債権にまで配当がなされることはありません。

     

    財団債権の代表例としては、租税(納期限が到来していないもの、又は納期限から1年を経過していないもの)や、破産手続開始前3ヶ月間の従業員の給料があります。

     

    また、優先的破産債権としては、納期限から1年以上経過している租税、社会保険料や下水道料などの公課、上記以外の給料などがあります。

     

    さらに、破産債権にまで配当がなされる場合でも、その配当額は、届け出た債権額に応じて按分になりますので(債権者数の頭割りではありません)、注意が必要です。

     

    例えば、配当率が1%であった場合、1億円の破産債権を有する大口の債権者には100万円が配当されますが、10万円の破産債権しか有していない小口の債権者には1000円しか配当されません。

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