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    2020.06.23

    【執行法改正】給与差押のため勤務先を調査する方法

     

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

    令和2年4月1日から、改正民事執行法が施行されました。新設された債務者の給与債権に係る情報の取得手続により、債権者による債務者の勤務先の調査がしやすくなりましたので、今回はその要件や手続き等について解説させていただきます。

    スーツ

     

     

    ■申立できる者


     

     

    給与債権に関する情報の開示を求めることができる債権者は、次のいずれかの請求権について、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者です(新法第206条1項)。

    ・養育費や婚姻費用などの請求権
    ・人の生命若しくは身体の損害による損害賠償請求権

    債務者の勤務先を把握することは必ずしも容易ではありませんが、近年、養育費履行確保の必要性の観点から、給与債権の差押えを容易にするために新設されました。
    他方、このように、債権の種類が限定されているのは、給与債権に係る情報は秘匿性が高いと考えられたからです。

    なお、債務者(か会社)の行為により債権者がPTSDを発症するなど精神的機能の障害による損害賠償請求権も「身体の侵害による損害賠償請求権」に含まれると解されています。

     

    ■申立の要件


     

     

    給与債権に係る情報取得手続は、預貯金に関する情報取得手続とは異なり、先行して債務者に対する財産開示手続きを行う必要があります。財産開示手続きが実施された場合において、その財産開示期日から3年以内に限り申立をすることができるのです。

    また、執行開始要件を備えていること(債務者に債務名義が送達されていることや、債務者について破産手続開始決定がなされていないことなど)や強制執行の不奏功等が要件として必要となります

    強制執行の不奏功等とは、強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立の日より6ヶ月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかったとき、あるいは知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明(債務者が持ち家か否か、持ち家であれば担保割れしているか否かなど)があったときです。

    さらに、給与債権に係る情報取得を認容する決定が出された場合、決定は債務者に送達されます。債務者はこの決定に対し執行抗告をすることができ、決定は確定しなければその効力を生じません

     

    ■情報提供を命じることができる第三者


     

     

    債務者の給与債権に関する情報の開示を命じることができる第三者は次の通りです。

    ・市町村(特別区を含む)
    ・日本年金機構及び共済組合(国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、日本私立学校振興・共済事業団、各厚生年金保険の実施期間等)

     

    ■提供を受けることができる情報


     

     

    市町村等から、情報提供を受けることができる情報は次の通りです。

    ・債務者に対し給与の支払をする者の存否
    ・これが存在するときは、その者の氏名又は名称及び住所(支払をする者が国である場合は債務者の所属する部局の名称及び所在地)

    なお、市町村が保有する勤務先情報は、給与支払者から毎年1月に提出される給与支払報告書等により得られるものなので、情報提供段階で債務者が退職、異動している可能性があります。

    また、市町村等が債務者の過去の勤務先に関する情報も保有している場合がありますが、本手続きは、あくまで債務者の給与差押のための手続ですので、取得できる情報は、市町村等が保有している直近の債務者の勤務先に関する情報となります。

     

    ■手続


     

     

    債権者が裁判所に対し申立をすることにより行われます。原則として、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所に申立をします。

    申立に際し、債務者の氏名について、できる限り、ふりがな、生年月日、性別、その他の特定に資する事項の記載を必要とします。

     

    ■費用


     

     

    申立手数料は申立1件につき1000円です。債権者が2名以上の場合は、債務名義が1通であっても申立ての個数は債権者の数になります(1000円×債権者の数)。開示を命じる第三者の数は申立手数料に影響しません。

    また、予納金として、勤務先情報1件6000円(東京地裁の場合)を予納する必要があります。なお、第三者が増えるごとに2000円ずつ足す必要があります。

    これら情報取得手続にかかる費用は、債務者の負担となりますが、実際に債務者に請求するためには、執行費用額確定処分を経て、強制執行により回収する必要があります。

    なお、情報取得手続の申立を弁護士に依頼する場合には、別途弁護士費用がかかります。

     

     

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