【景表法】食品の優良誤認表示
虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。
今回は度々起きる、食品の優良誤認表示について、景品表示法上の問題点についてご説明させていただきます。
■優良誤認表示とは?
商品・サービスの品質、規格、その他の内容について、一般消費者に対し、実際のもの(あるいは、競争関係にある他の事業者のもの)よりも著しく優良であると誤認表示される表示を「優良誤認表示」といい、景品表示法で禁止されています(第5条1号)。
これに対し、商品・サービスの価格、その他の取引条件についての不当表示は、「有利誤認表示」といい、これも景品表示法で禁止されています(同条2号)。
■「品質、規格、その他の内容」とは?
「品質」とは、成分(原材料、純度、濃度、混用率、添加物の有無など)と、属性(性能、効用、安全性、衛生性、鮮度、栄養価、味、香りなど)のことです。
「規格」とは、例えば、JAS規格、牛乳・乳製品の規格、公正マークなど、公的又は私的機関が定めた各種の規格、等級、基準などを意味します。
「その他の内容」には、原産国(地)、製造方法、受賞の有無、有効期限などが含まれます。
■「一般消費者」とは?
普通の消費者、平均的な消費者という意味です。専門的な知識を持つ人や、ほとんど無知な人を基準とするものではありません。
なお、その商品等が老人向けのものである場合は平均的な老人が、子供向けのものである場合には平均的な子供が「一般消費者」としての基準になります。
■「著しく」とは?
その表示の誇張の程度が、社会一般に許容される程度を超えて、一般消費者による商品・サービスの選択に影響を与える場合をいいます。
その誤認がなければ顧客が誘引されることが 通常ないであろうと認められる程度に達する誇大表示であれば、これに当たります。
■食品に関する、実際の違反例
・実際は大部分について、松坂牛出ない和牛の肉を使用していたのにあたかも料理に松坂牛を使用しているかのような表示をしていた。
・「和牛等特色ある食品の表示に関するガイドラインについて」における和牛の定義に該当しない牛の頬肉を使用していたにもかかわらず、あたかも黒毛和牛の頬肉を使用しているいるかのような表示をしていた。
・ランチセットで、「京地鶏」「半熟卵」を使用しているかのような表示をしていたが、京地鶏の肉ではなく、ブロイラー肉を使用しており、半熟卵も使用していなかった。
・「車エビのチリソース煮」というメニューの販売が行われていたが、実際には車エビではなく、それよりも安価なブラックタイガーを使用していた。
・「島根県産地国内産サザエ貝」と表示していたにもかかわらず、実際には韓国産のサザエ貝を販売していた。
■違反に対する処分
・違反したことを一般消費者に周知徹底すること
・再発防止策を講ずること
・その違反行為を将来繰り返さないこと
などを内容とした「措置命令」が行われます。
また、「課徴金納付命令」が出される場合もあります。
課徴金の額は、対象行為に係る商品・サービスの「売上額」に3%を乗じた金額が課徴金額となります。
課徴金額が150万円未満の時は、課徴金の納付は命じられません。
また、違反事実を自主的に消費者庁長官に報告した事業者は、所定の要件を満たす場合、課徴金の2分の1が減額されます。
さらに、所定の手続きに従って、消費者に対して返金措置を行った場合には、課徴金額が減免されます。