霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

 

判例雑誌を読んでいたら、こんな裁判例(東京地裁平成27年4月8日判決)が目に止まりました。

 

事案は、女性がソーシャルネットワーキングシステム(SNS)のミクシィのサイトに、あるイベント(リアル脱出ゲーム)の不要なチケットがあったら、譲り受けたい旨の書き込みをしたところ、男性からチケットがある旨のメッセージを受け取り、都内で会う約束をし、自らのメールアドレスや携帯番号を連絡するメッセージのやりとりをしたところ、ミクシィの運営事務局から、禁止事項である「面識のない異性との出会い等を目的として利用する行為」に該当するとして、自らのアカウントの利用を停止されてしまったため、女性が、ミクシィに対し、引き続き自らのアカウントを使ってサービスをさせることや損害賠償を求めて、提訴したというものです。

 

女性側は、裁判において、上記禁止事項は、男女交際を主たる目的とする行為を禁じるもので、物品の受け渡しなど主たる目的が男女交際以外にある場合には、この禁止事項に該当しない、女性は、男女の指定なしにチケットの譲り受けを申し入れ、これに応じたのがたまたま男性であったにすぎないなどと主張しました。

 

しかし、裁判所は、当該禁止事項は、その文言上、男女間の交際を目的とする出会いのみに限定して禁止する定めとは認められない。その趣旨については、面識のない男女が出会って交際等の関係に至ることが助長されるような投稿を禁ずる点にあると解する余地があるものの、投稿自体から男女間の交際を直接の目的とすることが明らかな行為のみを禁止するのでは、上記の趣旨を実効あらしめることは困難であり、上記行為にとどまらず、「面識のない異性との出会い等を目的として利用する行為」を対象とし、これに該当する行為を禁じているものと認められる旨判示して、女性側の請求を棄却しました。

 

なお、投稿の削除にあたっては、ミクシィから、女性に対し、3回警告文が送られていたようです(女性側は、そのような警告文は受け取っていないと主張しており、これについては争いがあります)。

 

この判決に対しては、女性側から控訴されており、その結果については分かりませんが、皆さんも安易な投稿により、アカウントの利用を停止されないよう注意して下さい。