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2015.04.10
サブリースについて、賃貸人から、期間満了を理由に契約を終了させることができますか?
サブリース契約にも、借地借家法の適用があり、賃貸人が契約の更新を拒絶するには、同法第28条に定めれた正当事由が必要になります。
まずサブリース契約に借地借家法の適用があるか問題になります。サブリース契約は、実質的には業務委託契約であるから借地借家法の適用がないとして、争われることがありますが、最高裁平成15年10月21日判決(判例時報1844号37頁)によって、サブリース契約についても、借地借家法32条1項(賃料増減額請求権に関する規定)が適用があるとされ、この問題について、一応の決着がつきました。
また、東京地裁平成24年1月20日判決(判例時報2153号49頁)も、サブリース契約について、建物部分を賃貸し、その対価として賃料を支払うというものであり、建物の賃貸借契約であることが明らかであるから、旧借家法1条の2の適用があり、契約の更新を拒絶するには、正当事由が必要であると判示しています。
正当事由の有無は、具体的には、当事者双方の建物を使用する必要性の有無、程度に関する事情を最も重要な要素とし、これに加え、賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況、建物の現況、契約期間中の賃借人の不信行為、立退料の申出などを従たる要素として考慮して判断されます。サブリース契約の場合も、例外ではありません。
そして、上記東京地裁判決は、原告(賃貸人)が、当該建物部分を使用する必要性として、自助努力によって収益を得る必要性があると主張したことに対し、その必要性とは、賃借人である被告を排除して、自ら直接の賃貸人となること等によって、自らがより高額の賃料を得たいというものであるところ、被告に対し賃料増額請求権の行使をすることによって相当な額に変更することが可能であること等から、被告に比して、原告において当該建物部分を使用する必要性は低いと判示しています。
また、上記東京地裁判決は、原告が、自らが本社として当該建物を使用する必要性があると主張したのに対し、従前の協議や、訴訟前の調停及び訴状において、そのような主張をしていなかったこと、原告は当該建物のうち空いている部分を本社として使用していなかったこと、原告の現在の本社は原告の関連会社が所有している物件であることを認定し、原告において当該建物を本社として使用する必要性は低いと判示しています。
他方、上記東京地裁判決は、被告の当該建物部分を使用する必要性を判断する場合、原則として、転貸してこれを転借人が使用する必要性があることもその考慮に含めてよいものと解されるところ、転借人が当該建物部分を使用する必要性があることは明らかである上、被告は、この転貸によって転貸料等の収入を得ており、また、建物の転貸条件付一括借上による賃貸業務等を目的とする被告にとって建物賃借権が存在することは事業上重要な部分を占めているものであり、被告において、転借人の利益又は自らの利益のいずれの面からも、当該建物部分を使用する必要性があるものといえると判示しています。
こうして、上記東京地裁判決は、原告の更新拒絶には正当事由がないとして、原告の明け渡し請求を棄却しました。
霞ヶ関パートナーズ法律事務所
弁護士 伊 澤 大 輔
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2015.04.09
財務省のウコンザクラ
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
ソメイヨシノはすっかり葉桜になってしまいましたが、毎年それと入れ替わるように、ウコンザクラが見頃の時期を迎えます。
写真は、当事務所近くの財務省の庭に咲くウコンザクラです。
ソメイヨシノが淡いピンク色であるのに対し、ウコンザクラの花弁は薄緑色で、風格のある大輪の八重咲きです。
私は、毎年、このウコンザクラを楽しみにしています。
名前は、ショウガ科のウコンの根を染料に用いた鬱金(ウコン)色に由来するとか。
この時期だけですので、お近くにお立ち寄りの際は、是非、ご覧になって下さい。
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2015.04.08
よくある質問⑧ 委任した後も、裁判に毎回出席する必要がありますか?
いいえ。裁判には、毎回、私が代理人として出席しますので、依頼者の方に出席頂く必要はありません。
裁判期日の内容・結果については、私から、毎回、訴訟経過報告書により、ご報告させていただきます。
但し、裁判も終盤に差し掛かり、和解についての話が重要な局面を迎えたため、依頼者の方にも同席の上、直接判断頂きたい場合や、法廷で証言いただく場合には、出席をお願いすることがあります。
また、任意に傍聴されるのは、もちろん自由です。
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2015.04.08
まずは交渉するか、すぐに訴訟提起するか?
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
テーマに対する回答ですが、もちろん事案ごとに個別の判断になりますし、弁護士によって考え方が異なるかもしれませんが、私は、基本的に、「まずは交渉する」ことをお勧めしています。理由は以下の通りです。
① 訴訟→判決では、法的根拠があること(要件を満たすこと)を立証できなければ、勝てないが、交渉では、法的根拠の有無、立証の可否にかかわらず、相手方と合意さえできればよいこと。
② 訴訟→判決では、法で定められた効果しか認められないし、その実現には強制執行など一つ一つ法的手続きをとっていく必要があるが、交渉では、相手方と合意さえできれば、柔軟な解決や、簡便な結果の実現が可能であること。
③ 訴訟では、解決までに、どうしても数ヶ月から年単位の時間がかかってしまうが、交渉では、それよりも早期に解決できる可能性があること。
④ 訴訟→判決よりも、交渉の方が、相手方との間にしこりを残さず、円満な解決が可能であること。
⑤ 交渉の方が弁護士費用が安く済むこと(一般的に、訴訟の場合の3分の2くらいでしょう)。
⑥ とりあえず交渉してみて、相手方の意向を確認し、合意に至る目途が立たない場合には、その後、速やかに訴訟提起すればよいこと。
もちろん、交渉では、最終的に、相手方の合意が得られなければ解決できませんし、それを強制することはできませんので、交渉するだけ時間・労力の無駄ということはあります。ですから、根本的に、事実関係や法的解釈に争いがあったり、相手方の性格等から、交渉をしても合意に至る可能性が低いと考えられる場合には、すぐに訴訟提起した方がよいかもしれません。
また、既に何度も督促しているが、お金を払ってこないような人に対しては、さらに交渉するだけ時間の無駄と考えられますので、速やかに訴訟提起した方がよいでしょう。
それから、債権回収事案で、財産を隠匿されるおそれがある場合には、まずは秘密裏に財産の仮差押えをした上で、交渉ないし訴訟提起すべき場合もあります。
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2015.04.06
合意書等における「限り」の意味
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
示談書や合意書、契約書、和解調書等において、よく「平成27年4月15日限り、金××円を支払う。」といった条項が出てきます。ここでいう「限り」とは、「〜までに」という意味で、支払期限を意味します。
上記の例では、遅くとも、平成27年4月15日までにお金を支払わなければならず、その日を過ぎてしまうと履行遅滞になってしまいます。
かつて、「限り」という意味を、その日ぴったりに支払わなければならないという意味に考え、ずっとその日になるのを待っていた依頼者の方がいらっしゃいましたが、そういう意味ではなく、その日よりも早く支払う分には何ら問題がありません(相手方も早く払ってもらった方が喜ぶでしょう)。
また、示談書等において、「金△△円を分割して、毎月金××万円宛支払う。」という表現もよく出てきます。ここでいう「宛」は「ずつ」と読みます。文字通り、毎月××万円ずつ支払うという意味です。「あて」とは読みませんのでご注意下さい。
近時、ある消費者金融から送られてきた合意書の中に、ひらがなで「毎月金××円あて支払う。」と書いてあって、苦笑したことがありました。
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2015.04.06
よくある質問⑦ 報酬金はどのような場合に支払う必要がありますか?
示談や和解が成立したり、判決が確定するなど、事件が解決したときに、その成功の程度に応じてお支払いいただくことになります。
時々、第一審で勝訴し、相手方から控訴され、控訴審でも勝訴した場合には、第一審と控訴審とで、それぞれ判決が出た段階で報酬金を二回支払う必要があるのかといった質問を受けることがありますが、そのようなことはありません。報酬金は、紛争が終局的に解決した場合、最後に一回だけお支払いいただければ足ります。
また、相手方(被告)に対し、金銭を請求する事件の場合、私は、実際に相手方から金銭を回収できたときに、実際に回収できた額に応じて報酬金をいただく形にしています。
本来、相手方から実際に回収できるか否かということは報酬金の発生とは関係なく、和解成立時ないし判決確定時に報酬金を請求する法律事務所も存在しますが、勝訴等しても、相手方から回収できないのであれば、判決書等は絵に描いた餅に過ぎず、依頼者の方が弁護士費用をかけた分、損をして終わってしまうことになります。
それでは、依頼者の方の利益になりませんので、私は、報酬金については、実際に回収できた額に応じていただくことにしております。
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2015.04.06
よくある質問⑥ 一審から引き続き、控訴審についても委任した場合、別途、控訴審の着手金を支払う必要がありますか?
はい。事件の委任は審級ごとになりますので、別途、控訴審の着手金をお支払いいただいております。
もっとも、例えば、第一審の着手金が60万円であった場合、控訴審の着手金としては、その2分の1とし、30万円をご請求させていただいております。
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2015.04.06
よくある質問⑤ 交渉事件から引き続き訴訟事件を委任した場合、追加で、着手金を支払う必要がありますか?
はい。追加で、訴訟事件の着手金をお支払いただいております。
但し、その場合、着手金の計算は次のようになります。
例えば、訴訟事件の着手金としては60万円が相当な事案について、訴訟提起前にまずは交渉事件として受任する場合、私は、その3分の2である40万円を交渉事件の着手金としてご請求させていただいておりますが、その後、交渉では解決せず、引き続き訴訟提起することになった場合には、追加で、訴訟事件の着手金として、本来の訴訟事件の着手金相当額との差額である20万円をご請求させていただいております。
上記例の場合、本来は、訴訟提起前に交渉をする分、弁護士としては手間暇がかかりますので、追加の訴訟事件の着手金として、60万円の2分の1である30万円を請求する法律事務所が多いと思料しますが、それでは最初から訴訟事件として依頼する場合に比べ、依頼者の方にとって割高になってしまいますので、私は、原則として、上記のように差額をご請求させていただく運用にしております。
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2015.04.06
弁護士費用には、どのような種類がある?
霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。
今回は、一般の方にお支払いいただく弁護士費用には、どのような種類があるかについて、ご説明させていただきます。
①着手金
弁護士に対し、交渉事件や訴訟事件を委任する場合、結果の成功不成功・勝敗にかかわらず、委任時に支払う対価です。
②報酬金
交渉事件や訴訟事件の解決時(和解が成立したり、判決が確定した場合)に、結果の成功・勝訴の程度に応じて支払う対価です。交渉事件や訴訟事件については、着手金と報酬金という組み合わせが、弁護士費用の基本になります。
③相談料
弁護士に法律相談をした時の対価です。ある事件について、交渉事件や訴訟事件を委任した場合には、何度相談したり、打ち合わせしたりしても、通常、その対価は着手金及び報酬金の中に包括的に含まれており、別途相談料がかかることはありません。
④文書作成料
弁護士に対し、通知書や契約書等文書の作成を依頼したときに支払う対価です。交渉や訴訟追行まで委任しない場合に、発生します。これと反対に、ある事件について、交渉事件や訴訟事件を委任した場合には、それに伴い、各種文書を作成してもらったとしても、通常、その対価は着手金及び報酬金の中に包括的に含まれており、別途文書作成料がかかることはありません。
⑤日当
訴訟事件等で、地方の裁判所に出頭する必要がある場合に、その移動に時間を要するため、着手金や報酬金とは別に、支払う対価です。
⑥実費
これは、弁護士の事件処理に対する対価ではなく、印紙代や郵送費、公文書の発行手数料、交通費、コピー代等、事件処理に伴う実費です。
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