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2016.01.07
夫に借金があることは、婚姻費用分担額の算定に影響を及ぼしますか。
一定の借金(債務)が考慮の対象となる余地はありますが、扶養義務者に債務があることから、直ちに婚姻費用の分担を免れたり、そのすべての債務が考慮さるわけではありません。
大阪高裁平成6年4月19日決定は、扶養義務者に多額の債務があっても、その生活が維持されている以上、生活保持義務を免れないと判示しています。
また、東京家裁平成27年6月26日審判は、基本的に、権利者及び義務者の収入に応じて、東京・大阪養育費等研究会による標準算定方式(算定表)に基づき、婚姻費用分担額を算定しており、扶養義務者(別居中の夫)が、実母から、子の学費等の借入をし、 実母に対し借金の返済をしていても、この借金の返済が婚姻費用分担義務に優先するとはいえず、上記婚姻費用分担額を左右するものとはならないとしています。
他方、仙台高裁平成16年2月25日決定は、夫婦が本来共同で負担すべき債務の一部を、婚姻費用の決定にあたり控除しています。
以上から、扶養義務者が、本来、夫婦が共同で負担すべき債務(例えば、住宅ローンなど)の一部を返済しているような場合には、それに応じて婚姻費用分担額が減額される可能性はありますが、扶養義務者が、それ以外の債務を返済しているからといって、それによって直ちに婚姻費用分担額が減免されることはないと思料します。
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2015.12.11
賃貸人らが、一方的に、賃借人の家財を処分したり、鍵を交換したりする行為は許されますか。
建物の賃借人が家賃を滞納しているからといって、賃貸人(あるいは賃料の保証会社や管理会社)が、一方的に、解錠をして賃借人の居室内に立ち入り、賃借人の家財を撤去処分したり、鍵穴に鍵ロックを取り付けたり、鍵自体を交換して、賃借人が立ち入られないようにしてしまうことがありますが、これらはすべて違法な行為であり、許されません。このような行為をしてしまうと、賃貸人らは、賃借人に対し、損害賠償責任を負うことになります(大阪地裁平成25年10月17日判決、東京地裁平成24年9月7日判決、大阪高裁平成23年6月10日判決等)。
賃借人に対し、「必ず放り出します。」、「荷物捨てるぞ」、「どこの組のもんや」、「家賃を払わないことは、無銭飲食だ。」、「犯罪者」といった暴言を吐くこと(大阪地裁平成25年10月17日判決)や、「荷物は全て出しました」との張り紙をドアに貼る行為(姫路簡裁平成21年12月22日判決)も、違法行為とされています。近所に聞こえるよう大声で督促することや、早朝・深夜の督促行為も違法行為と評価される可能性が高いでしょう。
このような追い出し行為を理由とする損害賠償請求に対し、賃貸人らから、自力救済行為として違法性を欠く旨の反論がなされることがありますが、自力救済行為は、原則として法の禁止するところであり、ただ、法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合において、その必要の限度を越えない範囲内でのみ例外的に許されるにすぎないのであり(最高裁昭和40年12月7日判決)、以上のような追い出し行為が自力救済行為として違法性を欠くと判断されることはまずあり得ません。
たとえ、賃貸借契約自体が有効に解除されていたとしても、結論はかわりません。
また、賃貸借契約書に「賃貸人は、賃借人が賃料の支払を滞らせたときには、鍵を交換できる。」、「賃借人が賃料を滞納した場合、賃貸人は、賃借人の承諾を得ずに建物に立ち入り、適当な処置をとることができる」などとの特約(いわゆる自力救済条項)が定められていたとしても、このような条項は、公序良俗に反し無効であり、自力救済行為は許されません(札幌地裁平成11年12月24日判決、東京地裁平成18年5月30日判決)。
このような違法な追い出し行為をした場合の損害賠償額ですが、家財を処分してしまった場合には、その家財の時価評価額が財産的損害として認められます。
また、財産的損害とは別に、賃借人が居室を一方的に追い出され、不便な生活を強いられた期間や態様に応じて、数十万円程度の慰謝料が認められています。
なお、家賃の保証会社が、5ヶ月間の間に、賃借人宅を7回訪問し、賃借人の携帯に65回架電し、連絡を求める旨の書面をドアに挟むなどしたのに、賃借人が電話に出ず、折り返しの電話連絡もせず、連絡を求める旨の書面も黙殺したという事案について、まれにみる悪質な賃借人であると非難されてもやむを得ない不誠実な対応であったといわなければならず、こうしたことは、慰謝料額の算定上考慮に入れるべき重要な事情というべきであるとして、慰謝料額を20万円にとどめた裁判例が存在します(東京地裁平成24年9月7日判決)。
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2015.12.09
退去時、賃借人は通常損耗についても、補修費用を負担しなければなりませんか。
建物の賃借人は、退去時に建物を原状に回復して返還する義務を負いますが、通常の使用による損耗については、既に賃料の中に含まれており、その修理原状回復費用を負わないのが原則です。
しかし、家主の側からすれば、畳や、床、壁紙など新品状態の方が新しい賃借人を得やすいことから、一方的に、通常の使用による損耗分を含めて修理原状回復にかかった費用を敷金から差し引くことがあり、これが紛争の火種になります。しかし、このような家主の主張が認められるには、その旨の特約がなければなりません。
この点、最高裁平成17年12月16日判決は、「建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約(通常損耗補修特約)が明確に合意されていることが必要である」旨判示しています。
そして、上記最高裁判決の事案では、契約書において負担区分表に基づき補修費用を負担することが定められており、その負担区分表には、襖紙・障子紙の汚損(手垢の汚れ、タバコの煤けなど生活することによる変色を含む)・汚れ、各種床・壁・天井等の仕上材の生活することによる変色・汚損・破損については、いずれも退去者(賃借人)の負担とされていましたが、これら文言自体からは、通常損耗を含む趣旨であることが一義的に明白であるとはいえないなどと判示して、通常損耗補修特約の成立を否定しました。
また、下級審判決において、「小修理は賃借人の負担において行う。賃借人は、故意過失を問わず、本件建物に毀損、滅失、汚損その他の損害を与えた場合は、賃貸人に対し賠償義務を負う。」(名古屋地裁平成2年10月19日判決)とか、「賃借人は、本契約が終了した時は、賃借人の費用をもって本物件を当初契約時の原状に復旧させ、賃貸人に明け渡さなければならない。」(大阪高裁平成12年8月22日判決」といった契約条項は、通常の使用による損耗・汚損の損害を賃借人が賠償又は費用負担することを定めたものではない旨判示されています。
では、どのような特約であれば、通常損耗も含めて賃借人が費用を負担する特約として有効かというと、「賃借人が本件建物を明け渡すときは、賃借人は畳表の取替、襖の張替え、クロスの張替、クリーニングの費用を負担する」という特約(しかも、この特約は、他の条項(黒の不動文字)と異なり、赤の不動文字で記載されていた)については、文理解釈上、自然損耗を含まない趣旨であると解することは困難であるなどとし、通常損耗を含めて賃借人が負担すべきとした下級審判決(東京地裁平成12年12月18日判決)が存在します。
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2015.11.30
過払い金の消滅時効
●過払い金の消滅時効はいつから進行するか?
過払い金の消滅時効は、取引が終了したとき、すなわち、最後に借入ないし返済をしたときから進行するというのが判例です(最高裁平成21年1月22日判決)。
但し、この判例は、「過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引」に関してのみ、該当するということについて注意が必要です。このような取引においては、取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害になるというべきであり、過払金返還請求権の行使を妨げるものであるから、消滅時効も進行しないというのがその理屈だからです。
最初に継続的な金銭消費貸借契約が締結され、一定の限度額の範囲内で、何度でも借入をすることができる一般的な消費者金融からの借入では、最終取引日から消滅時効が進行すると考えてよいでしょう。
これに対し、継続的な金銭消費貸借取引ではなく、1回の貸付に対し返済がなされているにすぎない場合には、過払金が発生する度に、その都度、消滅時効が進行すると考えられます。他の期限の定めのない債権と同様に、権利発生時から権利行使が可能であり、その行使を妨げる法律上の障害もないからです。
●過払い金の消滅時効期間は、5年か10年か?
10年とするのが判例です(最高裁昭和55年1月24日判決)。
商人間の貸し借りにより発生した過払い金には、商事時効である5年(商法522条)が適用されるようにも思えますが、上記判例は、「利息制限法所定の制限をこえて支払われた利息・損害金についての不当利得返還請求権は、法律の規定によって発生する債権であり、しかも、商事取引関係の迅速な解決のため短期消滅時効を定めた立法趣旨からみて、商行為によって生じた債権に準ずるものと解することもできないから、その消滅時効の期間は民事上の一般債権として民法167条1項により10年に解するのが相当である。」と判示しています。
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2015.08.27
商人間の瑕疵担保責任(商法526条)
企業間の契約書のレビューをしていると、担当者の方から瑕疵担保責任に関する質問を受けることが多くありますので、ここで商人間の瑕疵担保責任について整理をしておきたいと存じます。
商法には、民法の瑕疵担保責任の特則が定められており、商人間の売買において、買主が売買の目的物を受領したときは、遅滞なく検査をしなければならず(商法第526条1項)、この検査により、瑕疵があることまたはその数量に不足があることを発見したときは、直ちに、売主に対し、その旨を通知しなければなりません。ちなみに、「直ちに」とは、できるだけ早くという意味であり、即座にという意味ではありません。
買主がこの検査・通知を怠ると、売主に対し、瑕疵があることを理由とした契約の解除や損害賠償請求、代金減額請求をすることができなくなってしまいます(同条2項前段)。
但し、その瑕疵が直ちに発見することができない性質のものである場合には、買主が目的物の受領後6ヶ月以内に発見して直ちに通知すれば、これら契約解除権や損害賠償請求権等を失うことはありません(同条項後段)。「直ちに発見することができない瑕疵」とは、その業種の商人が通常用いる合理的な方法で、かつ合理的注意をつくしても発見できなかった瑕疵をいいます。
企業担当者の方からよく質問を受けるのは、この瑕疵担保責任の期間を延長することはできないのかということですが、この規定は強行規定ではなく、任意規定ですので、当事者間で合意が得られるのであれば、期間を延長したり、反対に、期間を短縮したり、瑕疵担保責任そのものを免責としたりすることができます。
なお、売主が、目的物の瑕疵や数量不足について悪意であった(認識していた)場合は、商法第526条2項の適用はなく、買主は、売主に対し、責任追及することができます(同法3項)。
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2015.06.15
遺留分権者と遺留分の割合
遺留分とは、法定相続人が、最低限相続できる財産の割合です。被相続人が、誰かに相続財産のすべてを相続させるという遺言を遺して死亡しても、遺留分権者は、遺留分減殺請求権を行使して、相続財産の一部を取得することができます。
遺留分を有するのは、被相続人の妻、子供、その代襲相続人(孫やひ孫など)、父母等の直系尊属です。被相続人の兄弟姉妹は遺留分を有しません(民法第1028条)。
遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人である場合、被相続人の財産の3分の1ですが、それ以外の場合には、被相続人の財産の2分の1となります(同上)。
例えば、被相続人Yが、全財産を第三者Xに遺贈するとの遺言を遺し、1200万円の財産を残して死亡したとしましょう。その父母のみが相続人の場合には、父母は、それぞれ200万円ずつ(1200万円×1/3×1/2)遺留分を有することになります。
また、上記例で、妻と、2人の子供が相続人の場合には、妻は300万円(1200万円×1/2×1/2)、二人の子供は、それぞれ150万円ずつ(1200万円×1/2×1/2×1/2)遺留分を有することになります。
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2015.06.02
借地上の建物を増改築するには、地主の承諾が必要ですか?承諾が得られない場合には、どうすればよいですか?
多くの賃貸借契約書には、「賃借人がその所有建物を改築又は増築するときは、賃貸人の承諾を受けなければならない。」旨の特約が入っており、この増改築禁止特約は一般的に有効と解されていますので、この場合、賃貸人(地主)の承諾が必要になります。
他方、このような特約がない場合には、地主の承諾がなくても、自由に建物の増改築をすることができます。但し、賃貸借契約書に、建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の特約が入っており、その制限に抵触する建物を改築する場合には、別途、借地条件変更について地主の承諾を得る必要があります。
任意に地主の承諾が得られない場合には、裁判所に対し、借地非訟手続により、増改築について、地主の承諾に代わる許可(代諾許可)を求めることができます(借地借家法第17条2項)。
その要件として、「土地の通常の利用上相当とすべき増改築」であることが必要であり、この相当性は、借地契約の趣旨を逸脱していないかどうか、増改築建物が建築基準法その他公法規制に適合しているかどうか、近隣紛争を発生させないかどうかなどを考慮して判断されます。
代諾許可をする場合、裁判所は、鑑定委員会の意見を聞いて、借地人に対し承諾料の支払いを命じるのがほとんどですが(同条第3項)、その額は、東京地裁借地非訟部(民事22部)では、全面改築の場合には、更地価格の3%相当額を基準とし、土地の利用効率が増大するときは5%程度、全面改築に至らない増改築の場合には、更地価格の3%より低い額とすることが多いようです。
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2015.05.29
借地上の建物を第三者に譲渡したいのですが、地主が承諾しません。どうしたら、いいですか?
第三者が借地権を取得しても、地主に不利になるおそれがないにもかかわらず、地主が承諾しない場合には、裁判所に対し、地主の承諾に代わる許可(代諾許可)を申し立てることができます(借地借家法第19条1項)。
この代諾許可を求める手続きは、地方裁判所において行われますが、借地非訟手続きと呼ばれる通常の訴訟とは異なる手続きで行われます。審理期間は通常の訴訟よりも短く申し立てから6ヶ月程度で結論が出ることが多いです。
代諾許可申立てを行うにあたり、問題になるのは以下のとおりです。
① 建物が存在すること
建物が取り壊されるなどして更地になってしまっているときには、譲渡すべき建物が存在しないので、代諾許可を申し立てることができません。くれぐれも、代諾許可の申し立て前に、建物を取り壊したりしないよう注意して下さい。
② 建物の譲受人が具体的に特定していること
裁判所は、借地権を譲渡しても地主に不利となるおそれがないか否かを判断しますので、その前提として、建物の譲受人(買主)が決まっている必要があります。したがって、建物を売却したいが、まだ買い手は見つかっていないという段階では、代諾許可の申し立てをすることができません。買い手候補を見つけ、売買契約を完了させる前に、申し立てをする必要があります。
③ 地主に不利になるおそれがないこと
建物の譲受人が、地代を滞納するおそれがない(それだけの資力がある)ならば、一般的に、地主が不利になるおそれがないということになりますが、その他に、譲受人が暴力団等反社会的勢力ではないか、建物が違法な目的、いかがわしいことに用いられないかが問題となります。
④ 借地条件の変更
当事者間の利益の衡平を図るために、代諾許可にあたり、賃料額等借地条件の改定が行われることがあります。
⑤ 財産上の給付
代諾許可されるほとんどの事例において、承諾料の支払いが条件とされます。東京地裁の場合、借地権価格の10%程度を基本として、個別事情を考慮して増減されます。なお、譲受人が建物所有者の妻や子など推定相続人である場合には、建物所有者が死亡すれば、相続により当然に取得するという関係にあることを考慮し、借地権価格の3%程度が多いとされています。
⑥ 地主の優先譲受権(介入権)
借地人から、代諾許可申立てがなされたとき、地主は、自ら建物の譲渡及び借地権の譲渡を受ける旨の申し立てをすることができます。この申し立てがあった場合、裁判所は、相当の対価を定めて、これを命じることができます(同条3項)。
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2015.05.27
建物が第三者に譲渡された場合、賃貸借契約はどうなりますか?
建物の賃借権は、その登記がなくても、建物の引渡を受けていれば、新所有者にも対抗できます(借地借家法第31条)。その結果、建物の所有権の移転に伴い、当然に、賃貸借契約も新所有者に承継され、新所有者を新たな賃貸人として継続します。
賃貸人たる地位の移転・承継について、原則として、賃借人の同意は不要と解されています。賃貸人の地位の移転には、賃貸人の賃借人に対する義務の移転を伴いますが、その義務の履行は、誰が賃貸人であっても、その履行に大きな差異を生じるものではないため不利益は大きくなく、通常、賃借人にとって、新所有者に賃貸借契約が承継される方が有利だからです。
新所有者に承継される賃貸借契約の内容は、賃料額や賃貸期間から特約に至るまで、すべて従前の契約と同じです。同一内容の賃貸借契約が当然に承継されますので、改めて新所有者との間で賃貸借契約書を巻き直す必要はありません。もっとも、実務的には、新所有者から、賃貸借契約書の巻き直しを求められることがあり、念のため従前の内容のものを巻き直すというのであれば問題ありませんが、契約内容の変更を伴うことがありますので、これに応じるかは慎重に判断すべきでしょう。契約書の巻き直しに応じる義務はなく、これを拒否したからといって、賃貸借契約の継続に支障をきたすことはありません。
敷金も(所有権移転登記時点で未払賃料等の債務があればこれに充当され、その残額が)、新所有者に承継され、実際に旧所有者から新所有者に対し敷金の引継ぎがなされたか否かにかかわらず、差し入れた敷金は、退去後に、新所有者から返還を受けることになります。
他方、賃借人が賃料を滞納し、既に未払い賃料が発生している場合、その賃料請求権は、建物の所有権の移転に伴い当然には承継されず、新所有者がこれを取得するには、別途、債権譲渡の合意とその手続きをとる必要があります。
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