離婚の際、退職金は財産分与の対象になるのでしょうか?

既に支給されている退職金が財産分与の対象になることは間違いありません。

問題は、まだ退職しておらず、将来支給される退職金が財産分与の対象になるかです。これについては争いがあります。退職するまでに会社が倒産するかもしれず、確実に支給されるかわかりませんし、本人の退職時期や退職理由によって、支給額が左右されるなど不確定要素が強いからです。

 

もっとも、退職金は賃金の後払的性質を有するものであるため、本来的に精算的財産分与の対象にすべきであり、東京家庭裁判所の裁判実務では、別居時に自己都合退社した場合の退職金相当額を考慮することが多いようです。

計算式としては、別居時に自己都合退職した場合の退職金額 ×(同居期間 ÷全労働期間)といった単純計算でよいでしょう。

また、定年退職があと数年後に迫っており、将来支給される蓋然性がより高い場合には、定年退職時の退職金額を基準として財産分与額が算定される例も少なくありません(その場合には、退職時までの中間利息は控除することになります)。

 

霞ヶ関パートナーズ法律事務所

弁護士  伊 澤 大 輔

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