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    2017.09.22

    判決を得ても金銭を回収できない場合に備え、どのような手段がありますか?

    虎ノ門桜法律事務所の代表弁護士伊澤大輔です。

     

    売買代金や貸金等の請求訴訟を受任する際、このようなご質問を受けることがあります。

     

    将来の強制執行を保全するために、予め債務者の財産を仮に差押えする、「仮差押」という手続きがあります。

     

     


     

    ●どのような効果があるか?

     

    あくまで「仮差押」は、将来の強制執行を保全するための制度ですので、暫定的に、債務者が仮差押えられた対象財産を勝手に処分できなくなる(例えば、事実上、不動産を売却できなくなる、預金をおろせなくなるといった)効果があるにすぎません。

     

    すなわち、「仮差押」をしたからといって、仮差押をした債権者が、直ちに、対象となる財産から金銭の回収できるわけではありませんし(実際に回収するには、訴訟提起後、判決を得た後、改めて強制執行をする必要があります。)、強制執行の際、仮差押をした債権者が、他の債権者に先立ち、優先的に回収を図れるわけでもありません。

     


     

     

    ●対象となる財産は?

     

    「仮差押」の対象となる財産には、不動産、債権、動産等がありますが、不動産の仮差押を考えるのが基本でしょう。

     

    預金債権の仮差押は、銀行取引において、期限の利益喪失事由とされていますし、給料債権の仮差押は、勤務先における債務者の信用を著しく害することになりますので、いずれも債務者の被る損害が甚大です。

    したがって、債権の仮差押においては、保全の必要性が慎重に審査され、当該債権以外に仮に差し押えるべき財産がないかどうか確認するために、裁判官から、債務者の住所や本店所在地の不動産登記事項証明書の提出を求められることが多くあります。

     


     

     

    ●手続きは?

     

    訴訟提起とは別に、仮差押の申し立てをする必要があります。

    仮差押申立書のほか、疎明資料を揃え、その一つとして陳述書を作成して提出するのが一般的です。 東京地裁保全部では、全件について口頭審尋(いわゆる債権者面接)が行われていますので、申し立てをした数日後に、代理人弁護士が裁判官と面接することになります。ご事情をよく知っている依頼者(担当者)の方に同席していただくこともあります。

     


     

     

    ●費用は?

     

    訴訟とは別のオプションの手続きですので、訴訟の着手金とは別に、弁護士費用と実費が掛かります。

     

    また、「仮差押」は、債権者の一方的な主張と疎明に基づいて簡易迅速に判断してなされる手続きですので、債権者に不測の損害を与えるおそれがあります。そこで、この損害を保証するものとして、仮差押命令発令の条件として担保(保証金)を立てることが要求されるのが特徴的です。

     

    担保金の額は、仮差押をする財産の種類や、被保全権利の疎明の程度によって、裁判官が個々に判断しますが、概ね対象となる財産の10%〜数十パーセント程度です。

     

    なお、立てた保証金は、本案訴訟によって全面的に勝訴し、その勝訴判決が確定した場合や、和解が成立した場合などに、担保取消をすることによって、全額戻ってきます。

     

     

     

     

     

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