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2015.03.05
住宅ローンと財産分与
不動産の財産分与にあたり、住宅ローンが残っている場合、その方法としては、次の5つが考えられます(以下、便宜上、夫が不動産の所有者であり、かつローン名義人である場合を例として説明いたします)。
①不動産を第三者に売却して、その売却代金でローンを返済し、残りを夫婦双方で分配する方法
離婚する夫婦のいずれもが、不動産の取得を望まない場合に最適です。売却しますので、金額が確定し、簡便に処理することができます。
②夫が、そのまま不動産の所有権を持ち、そこに居住し続け、夫の取り過ぎ分は、妻に対する金銭等の支払いで調整する方法
不動産の所有権移転登記や、金融機関の同意が不要である点で、簡便です。取り過ぎ分の評価は、不動産の時価から、ローンの未払い残額を差し引くという方法によって行います。
③夫が、そのまま不動産の所有権を持ち続けるが、当面、妻がそこに居住し続ける必要があるため、妻に対し、不動産の使用借件ないし賃借権を設定する方法
ローンは引き続き夫が支払い続けるが、夫がその不動産への居住を望まず、むしろ妻がその不動産に居住することを望んでいる場合にこのような方法が考えられます。ただ、この方法をとる場合、使用借件による利益や、賃料相当額をいくらと評価すべきかが争点となりますし、離婚する夫婦間で継続的な権利義務関係が残ることや、将来、夫がローンの支払を滞納すると、抵当権を実行されて妻が明け渡しせざるを得ないリスクが残ります。
④妻が、不動産を全部取得して、その後、妻がローンの支払をする方法(もらいすぎ分は金銭等で精算します)
この方法をとる場合、金融機関との間で、債務者(ローン名義人)を変更する必要がありますが、金融機関は、妻に夫以上の支払能力があると判断しなければ、容易にローン名義人の変更には応じてくれないでしょう。そこで、次の方法が考えれます。
⑤妻が不動産を全部取得するが、ローン名義人は引き続き夫のままとする方法
夫が、将来ローンを負担して支払うことで、全体的に財産分与額の帳尻が合うのであれば、その方法でよいですが、それでは妻がもらいすぎになってしまうような場合には、妻から、夫に対し、そのローン債務額に見合う金額を、毎月支払い、夫がこれを原資として金融機関に対するローンの支払をすることが考えられます。
この他にも、不動産を夫婦の共有とする方法が一応考えられますが、あまりお勧めできません。不動産の利用や処分にあたり、将来、別途協議が必要となり、問題の先送りにしかならないからです。
霞ヶ関パートナーズ法律事務所
弁護士 伊 澤 大 輔
☎ 03-5501-3700
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2015.02.06
退職金の財産分与
離婚の際、退職金は財産分与の対象になるのでしょうか?
既に支給されている退職金が財産分与の対象になることは間違いありません。
問題は、まだ退職しておらず、将来支給される退職金が財産分与の対象になるかです。これについては争いがあります。退職するまでに会社が倒産するかもしれず、確実に支給されるかわかりませんし、本人の退職時期や退職理由によって、支給額が左右されるなど不確定要素が強いからです。
もっとも、退職金は賃金の後払的性質を有するものであるため、本来的に精算的財産分与の対象にすべきであり、東京家庭裁判所の裁判実務では、別居時に自己都合退社した場合の退職金相当額を考慮することが多いようです。
計算式としては、別居時に自己都合退職した場合の退職金額 ×(同居期間 ÷全労働期間)といった単純計算でよいでしょう。
また、定年退職があと数年後に迫っており、将来支給される蓋然性がより高い場合には、定年退職時の退職金額を基準として財産分与額が算定される例も少なくありません(その場合には、退職時までの中間利息は控除することになります)。
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