不動産売買トラブル

不動産売買のトラブルについて、こんなお悩みはありませんか?

不動産売買トラブル

不動産売買トラブルの主な類型

Case1交渉破棄(契約締結上の過失)

契約締結に向けて交渉が開始されても、最終的に契約を締結するか否かは当事者の自由であり(契約自由の原則)、一方当事者が途中で交渉を取りやめたとしても、原則として、相手方に対し損害賠償責任を負いません。

しかし、交渉が進み、相手方が、契約が締結されるであろうと信頼し、準備行為をする段階に至った時点で、一方的に交渉を破棄した場合には、信義則上、損害賠償責任を負う場合があります(契約締結上の過失)。その責任の性質は、裁判実務上、債務不履行責任ではなく、信義則上の注意義務違反を根拠とする不法行為責任であるとされています。

損害賠償請求の要件

契約当事者の一方から、相手方に対し、契約が成立するであろうとの信頼を与える行為が存在すること、相手方が契約が成立するであろうと信頼したこと(信頼することが合理的であること)、当事者の一方が正当な理由なく契約締結を拒否したこと、その結果、相手方が損害を被ったこと、が要件となります。

考慮要素

具体的に、どのような段階に至れば、損害賠償義務を負うかについては、事案ごとに検討する必要がありますが、当事者の属性(事業者か、宅建業者か、個人か)や、対象物件や売買契約の目的、交渉内容・経緯、資金調達や、測量、工事など契約締結に向けた準備状況、買付証明書等の交付の有無・内容、事実上、取引条件がまとまっていたか、重要事項説明書や売買契約の案文の検討、契約締結日が決められたか等が判断要素となります。

売買契約の成立時期

交渉破棄の事案では、交渉を破棄され、損害賠償請求する側から、契約書が取り交わされていなくても、売買契約が成立していたと主張されることが多々あります。しかしながら、売渡承諾書や買付証明書の交付、不動産取り纏め依頼書の提出、仮契約書の締結、協定書の締結、契約書案の作成や検討、売買契約書締結予定日当日における締結拒否のいずれの段階でも、売買契約の成立は否定されています。

交渉破棄が信義則に違反しない場合

当事者間で交渉を重ねても、重要な前提条件を調整したり、解決したりできなければ、契約を締結できなくてもやむをえず、このような状況で、契約交渉を打ち切っても、信義則違反にはあたりません。
重要な前提条件としては、契約締結時期、引渡し時期のほか、開発行為や建築確認などの許可、隣地との境界承諾書の取得などがあげられます。

認められる損害

相手方が売買契約が締結されると信頼して行動したことにより、支出した費用相当額です。
裁判例上認められた、売却予定者側の損害としては、設計管理費用、設計費用、構造計算費用、開発許可申請費用、建築確認費用、対象土地の駐車場契約に伴う収入減などがあります。
他方、買受予定者側の損害としては、金融機関から融資を受けるに際して支払った利息(東京高裁昭和54年11月7日判決)、ノンバンク(国内信販)から融資を受けた際に支払った取扱手数料、収入印紙代、司法書士手数料(福岡高裁平成5年6月30日判決)などがあります。

Case2手付解除の可否

契約の相手方が履行に着手した後は、手付解除ができません(民法557条1項但書)。判例(最高裁昭和40年11月24日判決)は、この条項の趣旨を、履行に着手した当事者が不測の損害を蒙ることを防止するためのものと解し、「履行の着手」を「債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す」と判示しています。履行の着手があったことの主張立証責任は、手付解除を争う相手方が負います。

売主側における履行の着手

「不動産売買の手付解除」をご参照ください。

買主側における履行の着手

(肯定例)
・履行期後に、買主が代金をすぐに支払えるよう準備し、売主に履行の催告をした場合
(否定例)
・履行期前に、単に支払いの用意があるとして口頭の提供をし、売主に履行の催告をしたにすぎない場合
・買主が住宅ローンの申込み、投資信託の解約、親族からの資金調達などを行ったに過ぎない場合
・オプション工事の申込みや、家具の購入等

Case3売主の説明義務違反

裁判例は、「不動産売買における売主は、その売買の当時、購入希望者に重大な不利益をもたらすおそれがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想される事項を認識していた場合には、売主は、売買契約に付随する信義則上の義務として、購入希望者に対して当該事項について説明すべき義務があるというべきである。」と判示しています(東京地裁平成28年3月11日判決等)。例えば、設備や、日照、通風、眺望、自殺や隣人トラブルの有無について、売主に説明義務違反があったことを認め、損害賠償請求を認容した裁判例があります。

説明義務の対象となる情報

説明義務を負うか否かは、一般的に、その情報が、契約を締結するか否かの判断に影響を及ぼすべき情報であり、その情報を知っていたか、容易に入手できる立場にあったかで判断されますが、具体的に、どのような場合に売主が説明義務を負うか否かや、その内容については、当事者の属性や、契約の目的、取引の対象、契約締結に至る事情、当事者の認識等によって異なるため、一律に判断することができず、個別的な判断となります。

説明義務違反を追及する法的構成

不動産売買契約に関するものではありませんが、最高裁平成23年4月22日判決は、契約の締結に先立つ、信義則上の説明義務違反について、不法行為による賠償責任を負うことはあるが、契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはない旨判示しています。

ホームインスペクション

中古住宅の売買トラブルを避けるため、近年、ホームインスペクション*を利用するケースも増えています。ホームインスペクション(住宅診断)とは、住宅診断士が、外周りの状態、室内の状態、床下の状態、小屋根・天井裏の状態及び設備の状態を調査し、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所などについて報告書にまとめ、アドバイスを行う制度です。目視による一次診断の費用は5万円程度が相場であり、一般的に購入希望者が依頼して、負担することが多いです。

*今回の民法大改正でも、売主による説明義務の明文化は見送られました。

Case4売主の契約不適合責任(土地)

法令上の制限

建物建築を目的とする土地売買では、契約上想定された建物を建築するための法令適合性が確保できなければ、それは、瑕疵となります。例えば、最高裁昭和56年9月8日判決は、「宅地造成を目的とした土地の売買契約にあっては、対象土地が、森林法等宅地造成目的を阻害する公法上の制限区域内にあることは、重大な瑕疵(法律的障害事由)であることは明らかである」と判示した原審判決を維持しました。

地中埋設物

地中に土以外の異物が埋設されていても、買主に特に不利益を与えるものでない限り、土地の瑕疵にはあたりません。他方、建物の建築が可能でありさえすれば、瑕疵がないともいえません。建物を建築するために、地盤の整備・改良を行うにあたり、通常予想される程度を超える特別の異物除去工事を必要とする場合には、土地の瑕疵と認められます。多くの裁判例において、でコンクリートやアスファルトのガラ、杭や構造物の残骸、産業廃棄物等が存在することは、瑕疵とされています。

土壌汚染

土壌に人の生命、身体、健康を損なう危険のある有害物質が、その危険がないと認められる限度を超えて含まれていないことは、売買契約の目的物である土地が通常備えるべき品質、性能に当たると解されています。その瑕疵の判断基準としては、土壌汚染対策法などに定められた有害物質の種類や基準値、行政指導が参考となります。また、法令の規制外であっても、生命・健康への危険が認められたり、購買意欲や価格の消極的要因になったりするのであれば、瑕疵にあたる場合があります。

*2020年4月1日に施行された改正民法では、瑕疵担保責任という用語は廃止され、代わりに、現行法の瑕疵担保責任と、特約(品質保証)に基づく責任とを含めた、「契約不適合責任」という概念が用いられるようになりました。

Case5売主の契約不適合責任(建物)

雨漏り・漏水

新築住宅で、雨漏りや漏水があれば、それは当然に瑕疵(契約に適合しない)であるといえ、契約不適合責任を追求することができます。他方、中古建物の売買において、雨漏りの事実や、瑕疵、劣化、損傷の程度が、売買契約書や重要事項説明書等で明示的に示されていて、買主がこれを容認して売買契約が締結された場合には、それらは契約の内容になっており、そもそも契約不適合には該当しません。また、瑕疵等が明示されていなくても、中古建物が売買契約の目的物である場合、売買契約当時、経年変化等により一定程度の損傷等が存在することは当然前提とされて値段が決められていますので、当該中古建物として通常有すべき品質・性能を基準として、これを超える程度の損傷等がある場合に契約不適合と判断されます。詳しくは、こちらをご参照ください。

心理的瑕疵

契約不適合には、物理的欠陥だけでなく、対象不動産で、過去に自殺や殺人事件が起きた場合など、売買の目的物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景等に起因する心理的欠陥も含まれます。他方、自然死(病死)は、特段の事情がない限り、心理的欠陥にはあたりません。

なお、売買物件が性風俗営業に供されていたことが瑕疵にあたります(福岡高裁平成23年3月8日判決)。

Q&A

Q

登記簿どおりの面積があるものと思って、土地を購入しましたが、測量したところ、面積が足りないことが分かりました。売主から、売買代金の一部を返してもらうことはできますか?

A

例えば、1㎡あたりの単価を登記簿上の面積に掛け合わせて、代金が決められたような場合(数量指示売買の場合)には、代金の一部返金を求めることができます。しかし、そうではなく、単に土地の特定のために、契約書に登記簿上の面積が表示されているだけの場合には、代金の返金を求めることはできません。また、実測面積が不足していることが分かっていたら、買わなかったという場合には、契約を解除し、売買代金全額の返金を受けることもできます。
なお、これら権利は、面積不足を知った時から1年以内に行使しなければ(裁判外の意思表示でも構いません)、行使できなくなってしまいますので、ご注意ください。

Q

不動産の売買契約書に、契約不適合責任を免除する規定がありますが、損害賠償請求することはできますか?

A

改正民法下の契約不適合責任も、旧法下の担保責任と同様、任意規定であり、これと異なる合意をすることは妨げられませんので、契約不適合責任を免除する特約も基本的に有効です。ただし、売主が宅建業者で、買主が非業者である場合には、契約不適合が存在することを通知する期間を、目的物の引渡しから2年以上としなければならず、2年未満に限定する特約は無効となります(宅建業法第40条)。詳しくは、【不動産売買】契約不適合責任の免責条項とその有効性をご参照ください。

Q

現状有姿売買の場合も、売主は、瑕疵担保責任・契約不適合責任を負いますか?

A

負います。一般的に、現状有姿売買とは、契約後引き渡しまでに目的物の状況に変動があったとしても、売主は引き渡し時の状況のままに引き渡すという売買であり(東京地裁平成28年1月20日判決)、現状有姿売買だからといって、直ちに瑕疵担保責任や契約不適合責任を免れるわけではありません。

Q

過去に孤独死があったことを知らされずに、建物を購入しましたが、損害賠償請求できますか?

A

売却対象の建物内において、過去に人が亡くなったことがあったとしても、それが病死など自然死である場合には、特別な事情がない限り、心理的瑕疵にはあたりません。人は必ず死ぬものであり、死それ自体はいつか生じうることであり、建物内での死をもって心理的瑕疵とは評価できないからです。
ただし、自然死であったとしても、死亡後発見までに長期間放置され、死体が腐乱していたり、白骨化していたような場合など、嫌悪すべき事情があるケースでは、心理的瑕疵に当たることがあります。東京地裁平成14年6月18日判決は、建物(2階立て木造住宅)内で病死した人が約3ヶ月放置されていた事案について、このような事実は一般人であれば嫌悪し当該建物に居住することを拒む性質の事実であり、建物の交換価値を減少させる事実であると認められるとして、隠れたる瑕疵に当たると判示しています。詳しくはこちらをご参照ください。

Q

住宅については、引渡しを受けた時から10年間、瑕疵担保責任を追求できる場合があると聞きましたが、どんな場合ですか?

A

新築住宅の場合です(住宅品質確保法95条1項)。「新築」とは、①建設完了から1年を経過しておらず、②人が居住したことがないものをいいます(同法2条2項)。
また、その対象部位は、構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分という住宅の基本構造部分に限られます(同条項、同法94条1項)。「構造耐力上主要部分」とは、基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するもの)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいいます。また、「雨水浸入防止部分」とは、住宅の屋根、外壁、これらの開口部に設ける戸、枠その他の建具、雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、住宅の屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分です。

Q

移転登記の訴訟等にかかった弁護士報酬を損害賠償請求できますか?

A

土地の売買契約を締結したにもかかわらず、売主が土地の引渡や所有権移転登記手続をしないため、買主が、売主に対し、これら債務の履行を求める訴訟提起・追行や、保全命令、強制執行の申立てを弁護士に依頼した場合、これらにかかった弁護士報酬(弁護士費用)を損害賠償請求することはできるかについて、最高裁令和3年1月22日判決は、債務不履行に基づく損害賠償として請求することはできないとして否定しました。詳しくはこちらをご参照ください。

Q

隣地への越境物がある(おそれのある)不動産を売却する場合、どうすべきでしょうか?

A

買主が、隣地所有者から、越境物の撤去や不法行為に基づく損害賠償請求を受けるおそれがありますので、越境物を撤去してから売買契約を締結するのが原則です。越境物の撤去が困難な場合や、越境物の撤去に時間がかかる場合は、隣地所有者と合意書を取り交わし、解決金を支払って越境物の存在を認めてもらうなどして、紛争リスクを解消すべきでしょう。
越境状態を調査しなかったり、買主に対し、事実と異なる説明をした場合には、買主から説明義務違反による損害賠償請求や契約不適合責任を追及されるおそれがありますので、注意が必要です。

まずは相談することが
解決への第一歩となります。

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