隣人に対する直接的な法的手段としては、その騒音が通常の生活音にとどまらず、社会生活上我慢すべき限度(受忍限度)を越えたものである場合には、損害賠償請求や差止請求をするという方法が考えられます。受忍限度を越えているか否かは、一般人の感覚に基づき、騒音の大きさや頻度、時間帯、継続的なものか、被害者への身体的・精神的影響、マンションの周囲の環境、マンションの床・壁の遮音性能、紛争に至る経緯、加害者の態度、騒音防止対策が講じられているか否かを総合的に考慮して判断されます。
騒音の大きさに関しては、夜間・深夜の時間帯については40db(A)、それ以外の昼間の時間帯については53db(A)を超える騒音について差し止めを認めた裁判例(東京地裁平成24年3月15日判決)がありますので、一つの目安になるでしょう。
また、上階に住むロックミュージシャンが年に数回、深夜に歌を歌っていたという特殊な事案ですが、その歌声は生活音とは明らかに異質な音であり、その音量が最大41dbにとどまるとしても入眠を妨げるなどの生活上の支障を生じさせたとして損害賠償を認めた裁判例があります(差し止め請求は棄却。東京地裁26年3月25日判決)。
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