営業秘密・競業行為・不正競争

営業秘密や競業行為について、このようなお悩みありませんか?

営業秘密・競業行為・不正競争

Point1営業秘密とは?

不正競争防止法において、営業秘密として保護されるためには、①秘密として管理されていること(秘密管理性)、②営業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)、③公然と知られていないこと(非公知性)の3つの要件を満たす必要があります(2条6項)。

このうち、① 秘密管理性が実務上争いになることが多く、もっとも重要な要件です。秘密管理性が認められるためには、当該情報にアクセスできる者が制限されていること(アクセス制限)、当該情報にアクセスした者が秘密であることを認識できるようにされていること(認識可能性)の2つの要素が考慮されています。必要な秘密管理措置の程度については、情報の性質や企業の規模等によって左右されます。

営業秘密を適切に管理するための具体的な方策については、経済産業省が作成している「営業秘密管理指針」が参考になります。

Point2在職中の競業避止義務

在職中の従業員は、就業規則や雇用契約書等による明文がなくても、労働契約上の付随義務として、使用者に対し誠実に労務を提供する義務を負っており(労働契約法3条4項)、その一内容として、使用者の営業上の秘密を保持すべき義務を負うとともに、使用者の利益に著しく反する競業行為を差し控える義務を負います。また、在職中の従業員が、退職後の競業行為のための準備を行うことは、直ちに労働契約上の誠実義務に違反するものではありませんが、社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な行為態様で使用者の顧客を奪取したとみられる場合には、上記誠実義務に違反したものとして、不法行為責任を負います(東京地裁平成30年5月15日判決)。

例えば、ポータルサイトの運営等をしている会社の従業員が、競業会社が顧客を奪取し、あるいは奪取しようとしていることを認識しつつ、雇用契約の継続中であるにもかかわらず、1年余りにわたって継続して競業行為等に加担したこと、その加担の内容は、競業業務(ホームページのデザイン作成作業等)の手伝いにとどまらず、使用者の重要顧客に関するホームページのデザイン制作という顧客奪取にとって不可欠な行為にまで及んでいるばかりか、その態様もEメール等により競業会社の代表者や担当者との間でかなり周到な連絡を取り合った上、就業時間内においても、使用者のパソコンを利用するなどして行われているほか、その対価として飲食代をおごって貰ったり、10万円程度の報酬を受け取るなどしたこと、実際に使用者の重要顧客からの売上にかなりの減収が生じていることなどの事実関係が認められ、競業行為等への加担は、競業避止義務等に著しく違反する悪質な行為であるとされています(東京地裁平成25年2月28日判決)。

Point3退職後の競業避止義務

競業避止義務行為の有効性

退職後の従業員に対し、不正競争防止法で保護される「営業秘密」以外の情報についてまで秘密保持義務を負わせるためには、原則として、別個の契約や誓約をさせるなどの法的根拠が必要です。

また、労働者は、退職後、職業選択または営業の自由を有しますので、使用者が合意等により退職後の競業行為を無制限に制約することは許されません。退職後の競業避止義務を定める合意が有効か否かは、使用者の利益確保の必要性、退職者の従前の地位、競業行為の制限の期間、場所的範囲、制限対象となっている職種の範囲、態様、代償措置の有無・内容等の諸事情を総合考慮して判断され、合理的な制限の範囲を超える場合には、その合意等は公序良俗に反し無効なります。

無効となる競業避止義務の例

例えば、使用者の規模や業界の特殊性も考えると、従業員と顧客らとの間には強固な人的関係があり、従業員が退職後に競業行為を行うことにより、使用者に不利益が生じるおそれが大きいとうかがわれる場合であっても、合意は、従業員に対し、退職後3年間という比較的長期にわたり、地域的な制限もなく、競合企業に雇用されたり、競合事業を起業したり、競業行為を行うこと、使用者の顧客と交渉したり、受注することを広範囲に禁止するものであり、従業員の職業選択または営業の自由に対する制約が大きいにもかかわらず、これに対する代替措置は何ら講じられていない場合は、公序良俗に反し無効となります(東京地裁平成28年12月19日判決)。

有効となる競業避止義務の例

競業制限理由は、会社の業務上の機密事項等に関する一切の情報等の漏洩防止であり、従業員は平社員であるものの、そうした情報に接する可能性は十分あるため、その漏洩を防止する必要性は肯定できること、競業の制限範囲は日本全国であるが、会社は著名なエレベーターメーカーであり、その顧客及び営業範囲は日本全国に及んでいるから、機密情報保持のために全国で競業避止義務を課す必要性があること、競業の制限期間は退職後2年間であり、不当に長いとはいえないうえ、早期退職割増金は従業員の年収2年分を優に超える額であること等によれば、競業禁止約束は有効としています(京都地裁平成29年5月29日判決)。

Point 4元従業員による顧客奪取

元従業員が社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な態様で、会社の顧客を奪取した場合には、その行為は不法行為に当たります。

では、どのような場合が違法と評価されるかというと、会社の営業秘密に係る情報を用いたり、会社の信用をおとしめたりするなどの不当な方法で営業活動を行ったような場合です。

これに対し、退職のあいさつの際などに取引先の一部に対して独立後の受注希望を伝える程度のことはしているものの、取引先の営業担当であったことに基づく人的関係等を利用する程度のことは違法とは評価されません(最高裁平成22年3月25日判決。三佳テック事件)。

Q&A

Q

企業が秘密にしている違法行為をしている情報を漏洩する行為は、不正競争防止法に違反しますか?

A

脱税や、贈賄、談合等企業が違法行為をしている情報が漏洩した場合、その企業の信用は失墜しますが、このような情報は、歩法による保護に値せず、有用性が認めらないため、営業秘密には当たらず、不正競争防止法には違反しません。

Q

リバース・エンジニアリングによって明らかになる情報は、営業秘密として保護されますか?

A

リーバス・エンジニアリングとは、市場に流通している製品を分解・解析して、製造方法やソースコード等の技術情報を明らかにすることですが、これによって容易に明らかになる情報は非公知性の要件を満たさず、営業秘密として保護されません。もっとも、専門家により、多額の費用と時間を掛けないと分析できなような場合には、非公知性は失われず、営業秘密として保護される場合があります(大阪地裁平成15年2月27日判決)。

不正競争に関し、このようなお悩みはありませんか?

Point1不正競争防止法の特徴

不法行為の特別法

不正競争防止法は、民法の一般不法行為(民法第709条)の特別法であり、不正競争行為の類型に該当すれば、差し止め請求が認められたり、損害額の立証が容易になります。

補完的性質

商標登録をしていない場合、商標法に基づく請求はできませんし、、意匠権の出願をしていない場合、意匠法に基づく請求はできませんが、このような場合でも、不正競争防止法に定める不正競争行為に該当する場合、同法に基づく請求ができますので、補完的性質をもちます。

刑事法としての性質

不正競争防止では、差し止めや損害賠償など民事的効果だけでなく、不正競争の一部について刑事罰規定を置いています。

Point2不正競争行為の類型

不正競争防止法では、概略、次のような行為が不正競争行為として規制されています(2条1項)。これらは限定列挙であり、これらのいずれかに該当しないものは同法の規制対象にはなりません。

周知表示混同惹起行為(1号)

他人の商品・営業表示として需要者に広く認識されているものと同一又は類似の表示を使用し、その他人の商品・営業と混同を生じさせる行為。

著名表示冒用行為(2号)

他人の商品・営業の表示として著名なものを、自己の商品・営業の表示として使用する行為。

形態模倣商品の提供行為(3号)

他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為。

営業秘密の侵害行為(4号~10号)

窃盗等の不正の手段によって営業秘密を取得したり、自ら使用したり、第三者に開示等する行為。

限定提供データの不正取得行為(11号~16号)

限定提供されたデータを不正に取得したり、使用したり、開示したりする行為。

誤認惹起行為(20号)

商品、役務、広告等に、その原産地、品質、内容等について誤認させるような表示をする行為や、その表示をした商品を譲渡等する行為。

信用棄損行為(21号)

競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知したり、流布したりする行為。

Point3適用除外事由

もっとも、形式的に不正競争行為に該当する場合であっても、概略、次の場合には、差し止め請求や、損害賠償請求、罰則等の規定が適用されません(19条1項)。

・商品及び営業の普通名称・慣用表示の使用(1号)
・自己の氏名の不正の目的でない使用(2号) 
・周知性・著名性獲得以前からの先使用(3、4号)
・日本国内で最初に発売された日から3年経過した商品の形態模倣行為(5号イ)
・デッドコピー商品で知らずに取得し、そのことに重過失が無かった者の保護(5号ロ)
・営業秘密の善意取得者保護(6号)

不正競争防止法違反のケース

Case1製品データの改ざん

製品データの改ざんは、商品の品質等について誤認させるような表示を禁じる不正競争防止法第2条1項第14号に違反する疑いがあります。虚偽表示(誤認惹起行為)をした場合、刑事上、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(又はこれらの併科)が科されるおそれがありますが(同法第21条第2項第1、5号)、民事上の損害賠償責任についてはどうでしょうか。

契約当事者の場合

データを改ざんした製造業者から、契約により直接製品の供給を受けていた業者は、その品質が契約内容になっている場合、製造業者に対し、契約の債務不履行(不完全履行)に基づき損害賠償請求することができます。

契約当事者でない場合

製造業者と直接契約関係には立たないが、流通した製品に関し損害を被った者は、データを改ざんした製造業者に対し、不法行為(民法709条)あるいは製造物責任法第3条に基づき、損害賠償請求することが考えられます。

競争関係にある事業者の場合

データを改ざんした製造業者と競争関係にある事業者は、誤認惹起行為(データ改ざん)により、「営業上の利益を侵害」された場合には、不正競争防止法第4条により損害賠償請求することができます。この場合、損害額の推定等により、競争関係にある事業者の立証責任が軽減されています。なお、一般消費者は、「営業上の利益を侵害」されることが考えられないため、原則として、不正競争防止法に基づく損害賠償の請求主体にはなりません。

詳しくは、こちらをご参照ください。

Q&A

Q

どのような場合に、商品の形態を模倣したとして、規制対象になりますか?

A

「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従って使用するにあたり、知覚によって認識することができる、商品の外部及び内部の形状、その形状に結合した模様、色彩、光沢、質感をいいます(2条4項)。
また、「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一形態の商品を作り出すことをいいます(2条5項)。この点を主張・立証するためには、形態が酷似していることや、先行商品へのアクセスが容易であったことを明らかにする必要があります。
ただし、商品の機能を確保するために不可欠な形態の場合には除外され、形態を模倣しても規制対象にはなりません(2条1項3号かっこ書き)。また、日本国内において最初に販売された日から3年経過している場合や、デッドコピーであることを知らずに取得した場合には、適用が除外され、規制対象にはなりません(19条1項5号)。

まずは相談することが
解決への第一歩となります。

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