著作権について、こんなお悩みはありませんか?
- 計画している使用方法が、他人の著作権の侵害にあたらないかリサーチ・判断してほしい。
- 著作権を侵害されているが、しかるべき対策を講じてほしい。
- 著作権を侵害しているとして警告を受けたが、どのように対応すればいいか知りたい。
著作権のポイント
Point1著作権とは
思想・感情の創作的表現であって、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものが著作物として保護されます(著作権法2条1項1号)。
著作権法に著作物の種類が定められていますが(10条1項各号)、これらは限定列挙ではなく、例示列挙であり、上記著作物の要件を満たせば、著作物として保護されます。
特許と異なり、思想(アイデア)そのものは保護されません。また、単なる事実やデータそれ自体は、創作性の無いものは著作物として保護されません。ただし、カタログなどで、素材の選択や配列によって創作性を有するものは編集著作物として保護されます。工業製品は、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものではないため、著作物にあたりません。
特許権や商標権などと異なり、出願や登録をしなくても、著作物を創作した時点で著作権が発生します(無方式主義)。
著作権の保護期間は、著作者の死亡、公表、創作した翌年から70年間です。
著作権は譲渡が可能なため、取引の安全を図るため、対抗要件として登録制度が設けられています。
Point2著作者
著作者とは、著作物を創作した者(現実に作成した者)であり、著作者に著作権及び著作者人格権が原始的に帰属します(創作者主義。17条1項)。
著作物の創作過程において、複数の者が関与した場合、各人の寄与を分離して個別的に利用することができない場合は、共同著作物となります(2条1項1号)。これに対し、企画案や構想を考えただけの場合や、出資したに過ぎない者は著作者とはいえません。
職務著作
従業員などが職務上作成する著作物については、法人等の使用者が著作者になります。その要件は、①法人等の発意に基づくこと、②法人等の業務に従事する者が作成すること、➂職務上作成する著作物であること、④法人等が自己の著作の名義の下に公表するものであること、⑤契約、勤務規則その他に別段の定めがないこと、です。
Point3著作権侵害
複製権
著作権者の許諾を得ることなく、その著作物を複製すると、著作権の侵害になります(21条)。たとえば、社内研修用の資料として、市販の書籍の一部をコピーするような行為も複製権の侵害となります。このような場合は、日本複写権センターに使用料を支払う仕組みを利用すれば、適法にコピーできます。
なお、ある著作物に依拠することなく、創作したデザインやイラストなどがたまたま結果的に似ていたという場合には、どんなに似ていたとしても、著作権侵害にはあたりません。
上映権
公表された著作物は、営利を目的とせず(非営利)、聴衆・観衆から料金を受け取らず(無償)、実演する者に報酬が支払われない(無報酬の)場合には、公に上演・演奏・上映することができます(38条1項)。ただし、どんなに低額であったとしても、客から料金を受領する場合には、無償とは言えず、上映権の侵害となります。
Point4著作権の制限
私的使用のための複製
著作物は、個人的に、又は家庭内で、その他これに準ずる限られた範囲(例えば、3〜4人程度の同好会)で使用することを目的として複製しても、原則として、著作権侵害にはあたりません(30条1項)。
引用
公表された著作物は、著作者の許諾を得ることなく、引用して利用することができます。ただし、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行わなければなりません(32条1項)。引用にあたるといえるためには、引用部分が明瞭に区別されていて、引用する側が主であり、引用される側が従である関係が認められなければなりません。また、引用して利用する場合には、原則として、著作者名を示して、出所を明示しなければなりません(48条1項)。
Q&A
Q
著作権法上の著作物には該当しない著作物の利用行為について、一般不法行為(民法709条)に基づき、損害賠償請求することはできますか?
A
最高裁平成23年12月8日事件(北朝鮮映画事件)は、著作権法6条各号所定の著作物に該当しない著作物の利用行為は、同法が規律の対象とする著作物の利用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り、不法行為を構成しないと判示しています。したがって、著作権法で保護されている利益とは異なる利益の侵害行為であることを主張・立証できない限り、損害賠償請求は認められないでしょう。
Q
カタログに著作権は認められますか?
A
カタログも、使用されている素材の選択や配列によって創作性を有するものは、編集著作物として、著作権法上保護されます(著作権法第12条1項)。東京高裁平成7年1月31日判決も、会社案内のパンフレット(ラフ案)につき、素材の選択及び配列に創意と工夫が存することを理由に、編集著作物性を認めています。詳しくは、こちらをご参照ください。