不動産明渡し

不動産の明渡しについて、こんなお悩みはありませんか?

不動産の明渡しについて、こんなお悩みはありませんか?

賃料滞納による明渡手続きの流れ

1解除通知

賃料を2〜3ヶ月分以上滞納されている場合、賃借人に対し、賃貸借契約について解除の意思表示をすることが初めの第一歩です。賃貸借契約書に「無催告解除特約」*がある場合には、催告なしに、解除通知により、直ちに解除の効果を生じされることができますが、この特約がない場合には、1〜2週間程度の催告期間を設け、その期間内に滞納賃料全額を支払わないときには、その催告期間の経過をもって解除する旨の意思表示をすることになります。

意思表示の方法としては、解除の意思表示をしたことを客観的に証明するために、配達証明付内容証明郵便で通知するのが一般的です。念のため、賃借人が内容証明郵便を受領せず、保管期間経過により戻ってきてしまう場合に備え、同時に、同内容の解除通知を、特定記録郵便でも発送した方がよいでしょう。

*賃料の不払いがある場合、催告なしに契約を解除できる旨の定めです。

2占有移転禁止の仮処分

占有移転禁止の仮処分とは、賃借人が第三者に不動産の占有を移転しないようにするための手続きです。その手続きは、まず裁判所に申し立てをし、裁判官(東京地裁の場合、全件、裁判官面接が必要です)から内示を受けた担保金を差し入れると発令がなされ、次に、その命令に基づき執行申し立てをし、執行官により、賃借人が対象不動産を占有していることの確認がされた上で、占有移転禁止の公示書が貼られるという流れで行われます。申立から執行までに要する期間は概ね2週間程度です。

これをオプションの手続きとしている法律事務所もあるようですが、万一、賃借人が第三者に不動産の占有を移してしまうと、せっかく訴訟で勝訴判決を得ても、明渡しの強制執行ができなくなってしまいますので、当事務所では、占有移転禁止の仮処分をスタンダードな手続きとしてオススメしています。占有移転禁止の仮処分を執行することにより、賃借人がプレッシャーを感じ、早期の任意退去を促す事実上の効果もあります。

3訴訟

賃借人に対し、不動産の明渡しと賃料(滞納賃料や解除後の賃料相当損害金)の支払いを求める訴訟を提起します。保証人がいる場合には、保証人も共同被告として訴え、賃料の支払いを請求します。第1回期日は、訴訟提起から概ね1月半後くらいに指定されます。賃借人が争ってきた場合には、それから概ね1ヶ月に1回くらいのペースで裁判期日が開かれていきますが、賃料滞納の場合には、賃借人が争わず、答弁書を出さず、第1回期日を欠席する場合も多々あり、この場合には、その2週間くらい後に判決が言い渡されることになります。

もちろん解除の効果が生じた後は、早期の明渡しを求め、賃借人と訴訟外で交渉を進めていくことになりますが、賃借人が退去するといいながら、居座り続けるおそれがありますので、期限を区切るためにも、早期に訴訟提起した方がよいでしょう。

4明渡しの強制執行

賃借人が任意に退去しない場合、いよいよ判決に基づき、不動産明渡しの強制執行の申し立てをします。強制執行の申し立ては、対象不動産の所在地を管轄する地方裁判所の執行官に対して行います。もっとも、直ちに、実際に強制執行(これを「断行」といいます。)が行われれることはありません。

執行官との打ち合わせにより、まず「明渡しの催告」の日時が決められます。「明渡しの催告」では、執行補助者や開錠技術者も手配して、対象不動産に赴き、引き渡し期限と実際に強制執行を行う日を公示書に記載し、対象不動産に貼り付けます。この時に、執行補助者により、強制執行や残置物の処分にかかる費用の見積もりをしてもらうことになります。

実際に強制執行が行われるのは、「明渡しの催告」から1ヶ月ほど先です。それまでに、賃借人が退去している場合がほとんどですが、残置物がある場合には、執行官の判断で、その保管・廃棄方法が決められ、実際に残置物の運び出しが行われます。

賃料滞納以外を理由とする明渡

Case1老朽化し耐震基準を満たさない建物の明渡

裁判例

【東京地裁平成28年8月26日判決】

同判決は、建築から45年程度経過し、耐震の観点から安全性が認められるためには、Iso(構造耐震判定指標値)である0.6を上回る必要があるが、それを下回っている建物につき、震度6ないし7程度の地震が発生した場合に、中破・大破する可能性が高く、倒壊し、崩壊する危険性が高い一方、耐震性補強工事には多額の費用がかかること、借家人である公認会計士・税理士事務所が代替物件を見つけて移転する支障は比較的少ないと考えられることを認定し、相当な立退料の支払いと引き換えに、建物の明け渡しを認めています。

【東京地裁平成28年12月22日判決】
同判決は、賃借人が新築当初から建物を賃借して居住しており、賃借人の建物を使用する必要性を認める一方、建物が築後約43年経過しており、現在における耐震基準や耐火基準を満たしていないところ、一般居住用の木造建築建物として、経済的な効用を既にほぼ果たしていること、建物周辺は事務所やマンションが林立しており、建物を取り壊し、当該土地にマンションを建築することによって土地の有効活用を図ることについては、十分な合理性があることを認定し、相当な立退料の支払いと引き換えに、建物の明け渡しを認めています。

契約終了の方法

賃貸人から、期間内の解約申し入れができるのは、賃貸借契約に「期間の定めがない場合」(例えば、法定更新後の賃貸借契約の場合。借地借家法第26条1項但書)か、期間の定めがある場合でも、契約書に、賃貸人の期間内解約権が定められている場合です。実務上、この期間内解約権の特約は、有効と解されています。上記のいずれにも該当せず、期間内の解約申し入れができない場合は、賃貸借期間満了に伴い更新拒絶をするしかありません。

詳しくは、こちらをご参照ください。

弁護士費用

①解除通知書の作成、交渉、訴訟(第一審)、強制執行のすべての弁護士費用を含みます。
②控訴・上告の際は、追加で上記の2分の1の着手金をいただきます。
③占有移転禁止の仮処分は、別途22万円となります。
④出廷費用や日当はかかりません(ただし、往復2時間を超える遠方の場合を除きます)。
⑤滞納賃料を回収した場合は、報酬金として、別途回収額の16.5%をいただきます。
⑥原則として、一括でのお支払いとなりますが、分割払いのご相談にも応じております。
⑦別途、実費(印紙代、切手代、交通費、コピー代、執行費用、担保金等)が生じます。
⑧上記費用は、税込表示です。

■顧問契約締結による、特別割引の対象となります。
■地域貢献の一環として、港区在住・在勤の方限定で、特別に弁護士費用の優待をしております。詳細はお問い合わせください。

着手金 報酬金
家賃滞納による建物明渡
(居住用)
27.5万円 27.5万円
家賃滞納による建物明渡
(店舗等)
38.5万円 38.5万円
それ以外の理由(老朽化等に)
よる建物明渡
55万円 家賃5ヶ月分
(最低55万円)
土地明渡 お見積 お見積

Q&A

Q

賃借人が家賃を支払わないので、賃借人の家財を処分したり、鍵を交換したりすることはできますか?

A

建物の賃借人が家賃を滞納しているからといって、賃貸人(あるいは賃料の保証会社や管理会社)が、一方的に、解錠をして賃借人の居室内に立ち入り、賃借人の家財を撤去処分したり、鍵穴に鍵ロックを取り付けたり、鍵自体を交換して、賃借人が立ち入られないようにしてしまうことがありますが、これらはすべて違法な行為であり、許されません。このような行為をしてしまうと、賃貸人らは、賃借人に対し、損害賠償責任を負うことになります(大阪地裁平成25年10月17日判決、東京地裁平成24年9月7日判決、大阪高裁平成23年6月10日判決等)。詳しくはこちらをご参照ください。

Q

賃借人が、滞納賃料は、敷金(保証金)と相殺してほしいと言ってきました。そのような主張は認められますか?

A

認められません。
敷金(保証金)は、賃貸借契約が終了した際に、滞納賃料や原状回復義務など賃借人の債務が残っている場合に、これを担保する目的で差し入れるものですので、賃借人から、賃貸借契約の継続中に、滞納賃料との相殺を主張することはできません。

Q

賃借人が破産した場合、賃貸借契約はどうなりますか?

A

法律上、賃借人が破産したからといって、賃貸借契約が当然に終了するわけではありませんし、賃貸人が一方的に賃貸借契約を解除できるわけでもありません。賃貸借契約書に、賃借人が破産した場合には、賃貸借契約を解除できる旨の特約があったとしても、このような特約は無効と解されています。
賃借人が破産した場合、その破産管財人のみが、賃貸借契約を解除するか、その後も賃料を払い続けて賃貸借契約を継続するかを選択することができます(破産法第53条1項)。賃貸人としては、破産管財人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に賃貸借契約を解除するか、その後も賃貸借契約を継続するかを確答するよう催告できるにとどまります。あくまでも、契約を解除するか否かの選択権は、破産管財人にあるのです。この場合、破産管財人が、その期間内に確答しないときは、賃貸借契約は解除したものとみなされます(同条2項)。詳しくは、こちらをご参照ください。

Q

賃借人が長期間家賃を滞納している時、連帯保証人は保証契約を解除できますか?

A

賃借人が賃料の支払を怠り、将来も支払う見込みがないことが明らかで、賃借人ともまったく接触・連絡もとれず、保証人が保証責任の拡大を防止するため再三訴外賃借人を退去させて欲しいとの意向を示していたにもかかわらず、賃貸人は、賃貸借契約の解除及び明渡しの措置を行わず、そのまま使用を継続させ滞納賃料等を累積させていたことから、賃貸人には連帯保証契約上の信義則違反が認められ、保証人からの一方的意思表示による解除が許容されるとし、契約締結から12年以上が経過して保証人が賃借人の退去を求めた時点で、黙示的な解除の意思表示がなされたと認定し、以後の保証債務の履行を免れると判断した裁判例が存在します。詳しくは、こちらをご参照ください。

まずは相談することが
解決への第一歩となります。

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当事務所はトラブルに即時介入し、依頼者の盾となり、ストレスフルな日々から解放します。

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