借地の問題・トラブル

借地について、このようなお悩みはありませんか?

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借地権のポイント

Point1更新料

更新料支払い合意(更新料特約)の有無による

借地契約に関し、更新料を支払う合意(更新料特約)がある場合には、更新時に、借地人に対し更新料を請求することができます。これに対し、このような合意がない場合には、慣習法や事実たる慣習に基づく更新料支払義務は認められておらず、更新料を請求することはできません(最高裁昭和51年10月1日判決)。更新料特約がない場合には、正当事由がない限り、更新拒絶が認められないという借地借家法の趣旨からも更新料の請求が否定されています(東京地裁平成19年3月29日判決)。

過去に更新料が支払われていた場合

更新料特約がなければ、過去の更新時に更新料が支払われたとしても、これを理由とする更新料請求も否定するのが裁判例の趨勢です。例えば、東京地裁平成28年9月15日判決は、「平成6年の更新時の契約書では、『この契約締結に際し、』と断った上で、更新料として160万円を支払うとし、『事由のいかんにかかわらず甲はこれを返還しない。』と定めるのみで、その後の更新の際にも更新の事由を問わずに同額の更新料を支払う旨を当事者間で合意したことをうかがわせるような記載は一切存在しない。」旨判示し、更新料請求を否定しています。

交渉過程において、借地人から更新料額の提示があった場合

借地人が、その金額であれば支払ってもよいと考えていた更新料額の提示をしたとしても、相当額の更新料を支払う旨の法的合意は成立しているとは言えません。例えば、東京地裁平成29年1月17日判決は、「原告とAとの間で更新を巡る話合いを行う中で、Aからいったんは更新料の提示があったとしても、結局は金額について折り合いがつかず、更新契約はされないまま法定更新に至っているのであるから、原告とA間に更新料支払の合意自体が成立しなかったとみるのが自然である。」旨判示し、更新料の支払い合意があったことを否定しています。    

法定更新の場合

法定更新の場合には、多くの裁判例において、更新料請求が否定されています。その理由としては、特約条項の文理解釈のほか、東京地裁平成21年9月18日判決は、「借地法6条が適用される場合には、賃貸人に異議の正当事由がない限り、借地人は金銭的負担なくして契約更新の効果を得られるとされていることに照らすと、更新料はあくまで当事者の合意に基づく更新契約の一内容として支払われるものと解すべきである。」と判示しています。

更新料を支払わない場合の、借地契約解除の可否

更新料を支払う旨の合意があり、更新料の不払いにより信頼関係が破壊されていると評価されている場合には、借地契約の解除が認められます。詳しくは、こちらをご参照ください。

更新料額

例えば、東京地裁平成30年2月28日判決は、「東京都内における更新料の相場について、更地価格の2~3パーセントのケースが多いといわれていること」などを理由に、更新料を、更地価格の2.5%と算定しています。

Point2更新拒絶における正当事由

借地権設定者が借地契約を更新拒絶するには正当事由が必要であり、正当事由がなければ、更新拒絶は認められません。正当事由の有無は、①借地権設定者の建物使用を必要とする事情及び②借地人の建物使用を必要とする事情との比較衡量が基本的要因であり、これらのほか、③借地に関する従前の経過,④建物の利用状況,⑤建物の現況,⑥立退料の申出を補充的な要因として考慮して判断されます(借地借家法6条)。

①借地権設定者の建物使用を必要とする事情

借地権設定者が土地の返還を受け、自らやその家族が土地を使用する必要性があるということは正当事由を肯定する基本的な要因です。また、建物が老朽化しているため、建物を取り壊し、マンションやビルを建設して土地を有効活用することは、肯定する要因になると考えられています。もっとも、これらだけで正当事由が充足するわけではありません。
他方、借地権設定者が土地を利用する必要がなかったり、その土地利用計画が具体的でなかったり、他にも土地を所有しているような場合には、正当事由の否定方向の要因となります。

②借地人の建物使用を必要とする事情

借地契約が当初からその土地上の建物賃借人(入居者)の存在を容認したものであるときは、建物賃借人の事情も借地人側の事情として考慮されますが、そのような特段の事情がない場合には、借地人側の事情として考慮されません(最高裁昭和58年1月20日判決等)。

Point3借地人の建物買取請求権

借地契約が期間満了により終了したときは、借地人は、賃貸人に対し、建物その他土地に附属させた物を時価で買い取るよう請求する権利があります(建物買取請求権。借地借家法13条1項、旧借地法4条2項)。ただし、建物買取請求権が認められるのは、普通借地権に限られるとされ、一時使用目的の借地、一般定期借地権、事業用定期借地権については建物買取請求権は認められていません。

なお、建物買取請求権を認めないなど、借地人に不利な特約は無効です。

建物買取請求権の効力

建物買取請求権は、形成権であり、借地人の一方的な意思表示により売買契約が成立し、権利行使をした時点で、建物の所有権が賃貸人に移ることになります。この場合、借地人は売買代金債権を取得することになりますが、売買代金の支払いと建物引渡・所有権移転登記とは同時履行の関係に立ちます。建物買取請求権の行使により、借地人は、建物建築費用の一部、投下資本の回収を図ることができるとともに、建物を取り壊して土地の原状回復をする義務を免れることになります。

債務不履行により解除された場合

建物買取請求権は、不誠実な借地人のためには認められないという考え方から、地代不払い等の債務不履行により契約が解除された場合には、借地人は建物買取請求権を行使することができません(最高裁昭和35年2月9日判決)。

Q&A

Q

借地権付き土地の売買において、土地の安全性に問題があった場合、売主は契約不適合責任を負いますか?

A

借地権売買は、借地権という債権の売買であり、その対象は土地でありませんので、土地に安全性を欠くなどの瑕疵があった場合でも、借地権の買主は、売主に対し、瑕疵担保責任や契約不適合責任を追及することはできません。最高裁平成3年4月2日判決も、崖上の借地上の建物を売買したところ、崖の擁壁に水抜穴がなかったために、購入後の台風による大雨で擁壁に傾斜と亀裂が発生し、土地の一部沈下と傾斜が生じ、買主が建物倒壊の危険をさけるために、やむを得ず建物を取り壊した事案について、売主に対する損害賠償請求を否定しています。このような場合、買主は、賃借人たる地位に基づき、地主に対し、修繕を求めることになります。

まずは相談することが
解決への第一歩となります。

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