私道・境界のトラブル

私道や通行権、境界に関し、このようなトラブルはありませんか?

私道・境界のトラブル

私道、通行権、境界の問題

Case1無償袋地通行権とその承継

無償袋地通行権とは?

例えば、甲地と乙地とが、もともとAが所有する一筆の土地であったところ、分筆された結果、甲地が袋地となり、公道に接する乙地がBに譲渡された場合、Aは、公道に出るため、乙地を無償で通行することができます(民法213条)。

通行できる場所

通行できる場所は、袋地にとって、損害が最も少ない場所でなければなりませんが(211条)、これは公道への最短距離という意味ではなく、公道への接続の容易性や、袋地の状況(舗装の有無、段差の有無、広さ、障害物の有無、危険性、プライバシー等)、それまでの経緯や利用形態を考慮して判断されます。

無償袋地通行権の承継

では、さらに、その後、甲地や乙地のいずれか、あるいはその両方が他人に(転々)譲渡された場合、無償袋地通行権はどうなるかといいますと、このような場合にも、無償袋地通行権は消滅せず、甲地の所有者は、乙地を無償で通行することができますし、乙地の所有者は、それを負担しなければなりません(最高裁平成2年11月20日判決等)。

Case2境界確定の立証方法

書証

境界確定訴訟において、文書による立証方法としては、地図、測量図、土地登記事項証明書、公図、古文書、古地図、写真、空中写真等が挙げられます。地図により地形や記入された境界線を、土地登記事項証明書により地番の特定と公募面積を、公図により各土地のおおよその位置関係、境界線の形状を、写真により境界標識の存在や形状、占有状態を、古文書により境界標設置の経緯、境界に関する合意の有無を、それぞれ立証することになります。

その他の立証方法

証人尋問や当事者尋問、裁判官の現地調査による検証、専門家により土地の実測面積や林相を明らかにする鑑定があります。

Case3囲繞地の自動車通行権

判例は、自動車による通行権の成否及びその具体的内容について、「他の土地について自動車による通行を認める必要性、周辺の土地の状況、自動車による通行を前提とする210条通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべきである。」としています(最高裁平成18年3月16日判決)。

そして、その差戻審は、墓地経営のため自動車を使用する必要性があること、袋地所有者が自動車による通行ができないことを知りながら、土地を取得したものとはいえないこと、周辺住民が被る不利益は、自動車の通行の必要性を否定すべき程度の不利益ではないこと等を理由として、自動車での通行権を認めています(東京高裁平成19年9月13日)。

他方、簡易舗装された通路について、舗装は元々農業用で耐久性が弱いこと、行き違いができないこと、通路には農機具が置かれることも多いこと、駐車場は別に容易に確保できることなどを理由として、自動車による通行権を否定した裁判例(大阪地裁岸和田支部平成9年11月20日判決)も多数存在します。

このように、自動車での通行権が認められるか否かは、ケースバイケースであり、個別の具体的事情を基に、裁判例を分析する必要があります。

Q&A

Q

私道の所有者が通行を承諾してくれません。どうしたらいいですか?

A

従前の売主の時には、通行が認められていたが、新たな買主に対しては、近隣住民である私道の所有者が通行を承諾してくれないというようなことが時々起こります。このような場合、私道の所有者の同意が得られなくても、通行が認められるか否かは、従前、どのような根拠によって、通行が認められていたか否か、すなわち、①位置指定道路やみなし道路の場合、②囲繞地(袋地)通行権が認められる場合、③通行地役権が設定されている場合、④従前の売主と通路所有者との間で通路の利用契約が締結されていた場合、かによって異なります。詳しくは、こちらをご参照ください。

Q

位置指定道路である私道について、公衆の通行・立ち入りを禁止することはできますか?

A

できません。東京地裁平成23年6月29日判決も、「位置指定道路は私道ではあるが、その所有者以外の第三者を含む一般公衆の通行を許容する性質を有しているものであるから、公衆の通行・立ち入りを全面的に禁止したり阻害したりすることはできない。」と判示しています。もっとも、あくまで私道ですから、その所有者は、当該道路に対する維持・管理権を有し、前記の位置指定道路の趣旨等、法令の規定に反しない限り、当該道路の保全と関係権利者の居住の安寧のため、当該道路の利用を自治的に定めることができ、当該道路を利用する一般公衆もその定めによる利用制限に服します。

まずは相談することが
解決への第一歩となります。

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