ペットのトラブル

お願い

当事務所は、損害保険会社の顧問先のため、利益相反の関係で、加害者側の保険会社が顧問先である事故についてのご相談・ご依頼には応じることができません。被害者の方は、予め製造業者側の保険会社名をご確認の上、ご連絡いただきますようお願いいたします。

ペットの飼主等の責任

ペットの行動により、他人がけがをしたり、他人の財産が壊れた場合、その飼主は、原則として、損害賠償責任を負います(民法718条1項)。ペットを一時的に預かっている者も同様の責任を負います(2項)。

ペットのトラブルについて、こんなお悩みはありませんか?

ペットのトラブル

ペットトラブルの類型

Case1ペットと接触・衝突

神戸地裁平成28年12月26日

ドッグラン施設で小型犬を遊ばせていた女性が、同施設内で大型犬2頭が互いに追いかけ合うように走ってきて女性の右膝付近に衝突したため転倒し頸椎捻挫等の傷害を負った事案につき、各大型犬の飼い主が各犬の動向を十分に監視していたことには疑問があり、また、各大型犬か被害者に衝突するまでの間、各大型犬に声を掛けたりこれを制止するなど一切していないことから、その管理につき相当の注意を尽くしたものと認めることはできないとして損害賠償責任を認めています(過失相殺2割)

最高裁昭和56年11月5日判決

繋留を解かれた体重15kgの犬が走行中のバイクの排気音に驚きバイクと接触し、これによりバイクが転倒し、運転者が負傷した事故につき、犬の所有者の損害賠償責任を認めています(過失相殺6割)。

Case2ペットに驚いて転倒など

横浜地裁平成13年1月23日判決

公道に佇立していた先天性股関節脱臼があり、歩行が困難であった女性(70歳)が、背後から犬に吠えられ転倒し、受傷した事故につき、通常人でも犬の吠え声により驚愕し、身体の安定を損ない転倒することは、通常ありえないわけではなく、転倒すると老人などでは骨折する可能性が高いことが予見できるとして、飼主の損害賠償責任を認めています(素因減額2割)。

最高裁昭和58年4月1日判決

7歳の子供が鎖を外されたダックスフンドに驚き、自転車の操縦を誤って川に転落し、片目を失明した事故につき、「7歳の児童にはどのような種類の犬であってもこれを怖がる者があり、犬が飼主の手を離れれば本件のような事故の発生することは予測できないことではない」として飼主の損害賠償責任を認めました(ただし、過失相殺9割)。

Case3ペットに噛まれる

(肯定例)

東京高裁平成25年10月10日判決

動物の飼育禁止の建物使用細則のある高級マンションの居住者が、これに違反して動物を飼育し、マンションの居住者その他の関係者の生命、身体、財産の安全等を損なうことがないよう万全の注意を払う注意義務に違反したため、マンションの居住者に対して咬傷事故等を惹起し、被害者が恐怖心等により賃貸借契約を解約して退去したときは、これを被害者に賃貸していた賃貸人についても、専有部分の区分所有者その他の権利者が有する財産上の利益を侵害したときと同様に、相当因果関係が認められる範囲で損害を賠償する責任があると判示しています。

東京地裁平成18年11月27日判決

他人が現在する可能性のある領域に飼い犬を連れ出す場合には、飼犬が他人に危害を加えることがないようにしつけることもまた飼い主の義務であり、特に、人に咬みつく可能性のある飼い犬に対しては、特別の訓練等を行うべきであって、これをしないまま他人が現在する可能性のある領域に飼い犬を連れて行き、他人に傷害を与えた以上、飼い主は責任を免れないとして、飼主の損害賠償責任を認めています(過失相殺6割)。

(否定例)

大阪地裁昭和45年5月13日判決

玄関脇につながれていた犬に幼児が近寄っていって噛まれた事故につき、「本件の場合は親の目を離れた2歳に満たない幼児が自ら犬に近づいて噛まれたものであって、いわば異状な事故と解せられ、このような場合まで予想して被告に対し飼犬に口輪をはめるとか、犬小屋に収容しておくとかの義務が課せられているものと解するのは相当ではない」として、飼主の損害賠償責任を否定しました。

Case4ペットの鳴き声

大阪地裁平成27年12月11日判決

加害者の飼育する犬が深夜や早朝を問わず鳴き声を上げることにより被害者に現に睡眠を妨げられるなどの生活上に支障が生じていたのに対し、「加害者らは、被害者から犬の鳴き声に対する苦情を言われたり調停の申立てをされたりした後も適切な措置を執っておらず、このような諸事情を総合考慮すると、当該犬の鳴き声は一般社会生活上受忍すべき限度を超えたものであり、これによって被害者の平穏に生活することの利益や、健康に生活することについての利益が違法に侵害されたといえる。」、「住宅地において犬を飼育する飼い主は、犬の管理者として、犬の鳴き声が近隣住民に迷惑を及ぼさないよう、日常生活において犬をしつけ、場合によっては専門家に依頼するなどして犬を調教するなどの飼育上の注意義務を負う。」などとして損害賠償責任を認めています。

横浜地裁昭和61年2月18日判決

飼犬の鳴き声は、長時間にわたり、連日のごとく深夜・早朝にも及ぶなど極めて異常であり、受忍すべき限度内にあるものということは到底できないとし、飼犬は家人と一緒に運動させられることはほとんどない等、飼い主が、無駄吠えを抑止するために、飼育上の配慮すべき注意義務を尽したことを認むべき立証は存しないとして、損害賠償責任を認めています。なお、被害者が、犬の鳴き声の存在を認識しながらそれによる被害を容認して居住したとしても、入居の際その存在を認識した鳴き声から推測される被害の程度を大きく超えるものであり、危険への接近の法理による免責は認められないとしています。

Q&A

Q

ペットの飼主や保管者は、責任を免れることはできませんか?

A

動物の占有者・保管者は、動物の種類と性質に従い相当の注意を用いて管理していたことを主張・立証できれば、損害賠償責任を免れます(718条1項但書)。「相当の注意」とは、通常尽くすべき程度の注意を意味しますj。動物占有者の責任は、異常な事態に対処することまで対処する注意義務を課したものではありません。
相当の注意を払ったかは否かは、動物の種類・性質・性癖、飼主の職業・動物飼育の熟練度・加害時の措置、被害者側の対応、各地方公共団体の動物保護管理条例等を総合考慮して判断されます。
もっとも、近時の裁判例では、容易に免責が認められない傾向にあり、飼主等の責任は無過失責任に近づいているとの指摘があります。

まずは相談することが
解決への第一歩となります。

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当事務所はトラブルに即時介入し、依頼者の盾となり、ストレスフルな日々から解放します。

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