Point1商標権とは
商品や役務(サービス)の出所を示す標章を保護するものです。
商標権が独占的排他権として保護を受けるためには、出願をして登録を受ける必要があります。もっとも、未登録の商標であっても、使用により周知・著名商標となった場合は他人の商標登録を排除できるほか、不正競争防止法による保護を受けることができます。
登録商標は10年ごとに更新することができ、更新し続ければ、原則として、永久に権利を行使することができます。
Point2商標権侵害の判断
使用する正当な権原のない第三者が①登録商標の指定商品・指定役務と同一又は類似する商品・役務(商品・役務の類否)に、②登録商標と同一又は類似の商標(商標の類否)を、➂使用した場合(商標の使用)に、商標権侵害が成立します。
①商品・役務の類否
同一の営業主が製造・販売している商品と誤認されるおそれがある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生じるおそれがないものであっても、類似の商品にあたります(橘正宗事件:最高裁昭和36年6月27日判決)。
②商標の類否
商標の類否の判断は、基本的に、商標の外観、呼称、観念の3要素を観察して行われます。その際の判断は、当該商標の主たる購買層に属する者(需要者)が通常有する注意力を基準とすべきとされています。3要素のうち1要素以上が紛らわしくても、他の要素について著しく異なる場合や、取引の実情等からして、出所を混同するおそれがない場合には、両商標は非類似と考えられます。
商標の類否の判断方法は、特許庁による審査の場面と、訴訟等において侵害の有無が問題となる場面とで大きく異なりませんが、侵害の場面では、取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきとされています(氷山事件:最高裁昭和43年2月27日判決)。
➂商標の使用
問題となる行為が商標法2条3項の各号に定める「使用」(商標的使用)に該当しなければ、商標権の侵害にはなりません。商標的使用とは、商品自体やその包装に標章を付する行為、サービスの提供にあたって供するものに付する行為、広告や価格表、取引書類に標章を付して展示したりする行為です。
Point3商標権侵害の効果
商標権が侵害された場合、商標権者は、侵害者に対し、次のことを請求できます。
・商品の製造や販売、サービス提供の差止(商標法36条1項)
・廃棄(侵害行為を組成する物の廃棄、侵害行為に供された設備の除去、その他の侵害の予防に必要な行為。同条2項)。
・損害賠償(38条)
・信用回復措置(39条)
Q
他社から、商標権侵害であるとする警告書を受け取った場合、どのような調査をすればよいですか?
A
まず、他社が保有する登録商標を調査するため、商標公報や商標登録原簿謄本を入手して確認する必要があります。また、自社の商標の使用状況、使用期間などを客観的資料に基づいて確認する必要があります。商標の類否の判断だけでなく、先使用の抗弁(商標法32条)の可否を検討することができます。さらに、他社の登録商標の使用状況について調査します。使用実績が確認できない場合、不使用取消審判(商標法50条)の申立も検討すべきです。
まずは相談することが解決への第一歩となります。
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