株主の問題

株主の問題について、このようなお悩みはありませんか?

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株主との問題の主な類型

Case1会計帳簿の閲覧・謄写請求

請求の要件

次の数以上の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、会計帳簿の閲覧や謄写の請求をすることができます。この場合、当該請求の理由を明らかにしてしなければなりません。(会社法433条1項)。
・総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主
・発行済株式(自己株式を除く。)の100分の3
・これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合

この割合は2名以上の株主の株式数を合算して請求することができます。また、請求の理由は、具体的に記載しなければなりませんが、その請求の理由を基礎付ける事実が客観的に存在することについての立証までは必要ありません(最高裁平成16年7月1日判決)。

請求拒絶の要件

これに対し、会社は、次のいずれかに該当すると認められる場合は請求を拒絶することができますが、そうでない場合は、これを拒むことができません(同条2項)。
① 当該請求を行う株主(請求者)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
② 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
③ 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
④ 請求者が会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。
⑤ 請求者が、過去二年以内において、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

閲覧謄写請求訴訟・仮処分

会社が会計帳簿の閲覧謄写請求を拒否した場合、株主がこれを求める訴訟提起や仮処分の申立てをしてくることが考えられます。仮処分では、保全の必要性、すなわち、会社が会計帳簿を隠蔽したり、改ざんしたりするおそれがあることを、実際の事例で具体的事実に基づいて疎明する必要があります。

Case2譲渡制限株式の譲渡承認請求

譲渡制限株式とは?

株式を他人に譲渡するにあたり、会社の承認を要する旨定款で定められている株式です。譲渡制限株式については、会社の承諾がない限り、株主名簿の名義書換を請求することができず(会社法134条)、名義書換をしないと会社及び第三者に対し、株式の譲渡を対抗できません(130条)。これにより、会社にとって好ましくない者が経営に参画することを防ぎ、会社経営を安定させることができるため、日本の非上場の株式会社のほとんどの株式は譲渡制限株式です。

なお、ここでいう譲渡には、相続、合併、会社分割といった一般承継による株式の移転は含まれません(134条4号)。

譲渡承認手続き

株主が譲渡制限株式を譲渡する場合には、その譲渡する株式数、譲受ける者の氏名・名称等を明らかにして、会社の承認を受けなければなりません(138条1号)。その承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければなりません。ただし、定款に別段の定めがある場合(代表取締役が承認機関とされていることが多いです)は、この限りではありません(139条1項)。

譲渡承認をしない場合

株主は、会社が承認をしない場合には、当該株式会社又は指定買取人が譲渡制限株式を買い取ることを請求することができ、会社は、この請求を受けた場合において、株式譲渡を承認をしない旨の決定をしたときは、会社自ら対象株式を買い取るか、対象株式の全部又は一部を買い取る者(指定買取人)を指定しなければなりません(140条)。

株式の売買価格

譲渡人と譲受人との合意があれば、いくらでも構いませんが、一般的には、税務上の評価額である相続税計算時の非公開会社株式の評価額が参照されやすいです。株主の譲渡承認請求に対して、会社ないし指定買取人により買い取ることにしたが、協議をしても売買価格が決まらない場合には、裁判所に対し、売買価格の決定を申し立てることができます(144条2項)。この場合、純資産額、収益還元法、類似会社比較法などによって、時価額が評価されます。

Case3株主間協定

株主間協定(SHA)とは?

複数の株主間における、株式の譲渡や、役員の解任、議決権の拘束など会社の運営やルールに関する合意のことです。M&Aの結果、複数の株主により会社が運営される場合に、被支配会社について締結されることが多くあります。

株主間協定の効力

株主当事者間の債権契約として有効と解されています。あくまで合意した当事者間で拘束力を有するにとどまり、会社法上の効力を当然に有するものではなく、協定に違反しても、事後的に損害賠償請求することしかできません。もっとも、株主全員で締結した株主間協定については、対会社の関係でも効力を主張できるという見解もあり、この見解による場合、協定違反により成立した決議は、定款違反の場合と同様、取り消すことができると考えられています(会社法831条1項2号)。

チェンジオブコントロール条項(COC)

取引先との間において、取引先の株主や役員構成が大きく変わった場合には、取引契約を解除等できる条項のことです。

チェンジオブコントロール条項は、主に、取引先が買収されることにより、自社の技術の流出を防ぐことや、敵対的買収が行われるリスクを抑えることを目的としています。この条項があることで買収後に取引先から契約を解除される可能性があるため、買収を躊躇することがあるからです。

Q&A

Q

株主からの定款の閲覧請求を拒むことができますか?

A

基本的に、できません。
株式会社は、その本店及び支店に定款を備え置かなければならず(会社法31条1項)、その株主及び債権者は、会社の営業時間内は、いつでも、定款の閲覧・謄写を請求することができます(2項)。これを拒否できる法令上の規定はありません。
ただし、その請求が反復継続して多数回行われ、意図的に会社に負担をかけるようとする場合には、権利の濫用として、拒否できます。

まずは相談することが
解決への第一歩となります。

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