独占禁止法

取引において、このようなことをしていませんか?

独占禁止法

それは、独占禁止法に違反するおそれがあります。

企業が優れた商品やサービスを提供することにより、市場で独占的な地位を築くことは、正当な競争行為の結果であり、何ら問題はありません。しかし、高い市場シェアを有する企業が、一定の不正・不公正な取引をすることは独占禁止法に違反します。

Case1再販売価格の拘束

メーカーが流通業者に対し、自社製品の販売価格(再販売価格)を示し、これを拘束させることは、流通業者間の価格競争を減少・消滅させることになるので、原則として不公正な取引方法に該当し、違法となります(独禁法2条9項4号)。

文書によるか口頭によるかにかかわらず、メーカーの示した価格で販売させている場合や、メーカーの示した価格で販売しない場合に経済上の不利益を課し、または課すことを示唆する等している場合は、価格の拘束になります。価格の拘束には、確定した価格のみならず、条件付や一定の幅のある設定も含みます。

再販売価格の拘束が行われる場合であっても、「正当な理由」がある場合には違法とはなりませんが、現実的にその要件を満たすことは限定的と考えられます。

Case2競争品の取扱いに関する制限

例えば、メーカーが流通業者に対して、自社商品のみの取扱いを義務付けたり、競争関係にある商品の取扱いを禁止・制限したり、流通業者の取扱い能力の限度に近い販売数量の義務付けを行うような場合をいいます。

①市場における有力なメーカーが、②競争品の取扱い制限を行い、③これによって新規参入者や既存の競争者にとって代替的な流通経路を容易に確保することができなくなるおそれがある場合(市場閉鎖的効果を生じる場合)には、不公正な取引方法に該当し、違法になります(一般指定11、12項)。

①市場における有力なメーカーに該当するかは、競争関係にある商品の市場におけるシェアが10%以上、またはその順位が上位3位以内であることが一応の目安となります。

Case3取引先に関する制限

安売り業者への販売禁止

メーカーが卸売業者に対して安売りを行うことを理由に小売業者へ販売しないようにさせたり、メーカーが従来から直接取引している流通業者に対して安売りを行うことを理由に出荷停止を行ったりすることは、当該商品の価格が維持されるおそれがあるとされ、原則として不公正な取引方法に該当し、違法となります。

帳合取引の義務付け

小売業者の仕入先として特定の卸業者が決定している取引を「帳合取引」といいます。メーカーが卸売業者に対して、その販売先である小売業者を特定させたり、小売業者が特定の卸売業者としか取引できないようにするなど帳合取引を義務付ける行為を行い、当該商品の価格が維持されるおそれがある場合には、不公正な取引方法に該当し、違法となります。

選択的流通

メーカーが自社の商品を取り扱う流通業者に関して一定の基準を設定し、この基準を満たす流通業者に限定して商品を取り扱わせようとする場合、取引相手の流通業者に対し、自社の商品の取扱いを認めた流通業者以外の流通業者への転売を禁止することがあります。これを「選択的流通」といいます。

このような「選択的流通」については、①流通業者に関して設定される基準が、商品の品質保持、適切な使用の確保等、消費者の利益の観点からそれなりの合理的な理由に基づくものと認められ、かつ、②他の流通業者に対しても同等の基準が適用される場合には、通常、独禁法上の問題とはならないとされています。

Case4価格カルテル

事業者が他の事業者と共同して、価格の引き上げ等について合意をし、一定の取引分野(市場)における実質的に競争を制限する「価格カルテル」と呼ばれるもので独禁法において、不正な取引制限として、禁止されています(2条6項)。

共同して

価格カルテルは、他の事業者と「共同して」行われる必要がありますので、他の事業者との「意思の連絡」(合意)が必要です。「意思の連絡」は、
・一方の対価引上げを他方が単に認識、認容するだけでは足りませんが、
・事業者間相互で拘束し合うことを明示して合意することまでは必要でなく、
・相互に他の事業者の対価の引き上げ行為を認識して、暗黙のうちに認容することで足りる
と解されています(東芝ケミカル審決取消請求事件。差戻審)。

競争を実質的に制限する

価格カルテルが成立する要件の1つ「競争を実質的に制限する」とは、競争自体が減少して、特定の事業者または事業者集団が、その意思で、ある程度自由に、価格等を左右することによって、市場を支配することができる形態が現れているか、または少なくとも現れようとする程度に至っている状態です。

市場を支配する程度については、一定の取引分野における競争を完全に排除し、価格等を完全に支配することまでは必要ありません。一般的に、過半あるいはそれに準じる大きな市場シェアを有する事業者が競争を制限する内容の合意をすれば、「競争を実質的に制限する」と認定されます。他方、合意をした事業者のシェアがそれほど高くない場合であっても、違反行為に参加している事業者以外の競合他社の多くがその価格設定に追随していれば、その合意が行われたことによって、「競争を実質的に制限する」と認定されることになります。

詳しくは、こちらをご参照ください。

Q&A

Q

メーカーが自社商品を取り扱う流通業者の販売価格、販売先等を調査することも、独禁法に違反しますか?

A

「メーカーの示した価格で販売しない場合に流通業者に対して出荷停止等の経済上の不利益を課したり、または課す旨を通知・示唆したりする等、流通業者の販売価格に関する制限を伴うものでない限り、通常は独禁法上の問題とはならない」とされています(平成27年の流通・取引慣行ガイドライン改正)。

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