下請事業者が、「経済上の利益」を提供することが納入した物品等の販売促進につながるなど、提供しない場合に比べて直接の利益になるものとして、自由な意思により提供する場合には「下請事業者の利益を不当に害する」ものにはあたりません。
しかし、親事業者が自己の利益のために、下請事業者に対して、金銭、役務その他の経済上の利益を提供させることにより、下請事業者の利益を不当に害すると下請法違反となります(第4条第2項第3号)。例えば、親事業者が自社の催事に対する協賛金の提供を下請事業者に要請し、協賛金を提供させていたり、下請事業者に対し、当該下請事業者に委託した取引以外の貨物の積み下ろしの役務提供を要請し、無償で積み下ろし作業を行わせていたり、自社で行う催事の抽選会において景品として使用するため、下請事業者に対し、無償で商品を提供させたりする行為は下請法違反になります。
また、下請事業者の金銭・労働力の提供が下請事業者の直接の利益につながることの合理的根拠を明確にしないで提供を要請することは、不当な経済上の利益の提供要請に該当するおそれがあります。